さすがテレ東。鈴木京香が主演の『行列の女神〜らーめん才遊記〜』を観て、改めて納得する。世にいうB級グルメドラマを定着させたのがこの局だ。

 でもね、懸念はあった。鈴木京香に「らーめん」は果たして似合うか。ゴージャスな彼女にはフレンチの女王が相応しいのでは。


鈴木京香 ©文藝春秋

 修業を重ね、伝説のラーメン女王となった芹沢達美(鈴木京香)はそこに安住せずフードコンサルタント業にも進出する。

 ミシュラン級の職人にして、遣り手の女社長。辣腕の芹沢を演じられるのは、やはり京香サマである。

 彼女が経営する清流企画に入社したいと来たのが、まだラーメン歴半年の汐見ゆとり(黒島結菜)だ。父に連れられ初めてラーメンを食べ、世の中にこんな美味い食べ物があったのかと驚き面接に来た。

 ラーメンの頂点を極めた鈴木京香と、ド素人の黒島結菜とが出会い、ドラマは動きだす。研鑽を重ねて業界トップに昇りつめた芹沢のポリシーは「ただ美味いだけでは、ラーメン店を成功させることは出来ない」。だから苦況にあえぐラーメン店を救うコンサルティング会社を起こした。

 ゆとりは超絶的な舌をもつ。生麺を囓っただけで「加水率三十八%、茹で時間一分四十秒」と言い当てる。この娘は使える。芹沢は部下の夏川彩(高橋メアリージュン)が担当する店にゆとりを同行させる。オシャレな住宅街にある、トンコツラーメン店が不入りで、知恵を求めてきた。

 高級住宅街にトンコツの匂いも店構えも場違い。ここはひとつ高級感を狙い、マダムたちを呼び込もうと夏川は考えた。洒落た内装の、トマトとルッコラのイタリア風ラーメン店だ。

 お洒落ラーメンを口にした、ゆとりが眉を曇らす。「何よ?」と怒る夏川に、「味がスカスカ、というよりガラガラ」と、ゆとり。彼女の予感が当たり、初日は混雑していた店が、一週間で客はガラガラに。

 女は欲張りで、食いしん坊。上品そうな奥さんも、ヘルシーなイタリア風ラーメンじゃ物足りない、とゆとりは気づく。さすが芹沢が見込んだだけあって、ゆとりの勘は鋭い。

 あとは食べ過ぎの“罪悪感”さえ解消できればOKだ。麺は二〇〇gあるが、ツケ汁は濃厚トンコツにアンチョビを加える。そこにバーニャカウダーで野菜たっぷり、ヘルシーに。

 お腹いっぱいになり、でも健康的ですもの。奥様たちの言い訳もたち、バーニャカウダー風つけ麺の人気で店は連日、満員となる。

 ラーメン愛に燃えると、目が輝く愛らしい純情一途な黒島結菜。一方の鈴木京香はそんな彼女の才能を巧く操って業績を伸ばす。

 京香vs.結菜の新旧対決でワクワク観ちゃう、こんな時期だからお勧めの一本。

INFORMATION

『行列の女神〜らーめん才遊記〜』
テレビ東京系 月 22:00〜
https://www.tv-tokyo.co.jp/gyouretu/

(亀和田 武/週刊文春 2020年5月21日号)