『ROCK ACADEMIA』(GLAY)/『HELLO』(Official髭男dism)


絵=安斎 肇

『ROCK ACADEMIA』を初めて耳にしたとき、えっ! これホントにGLAYなの? と思ってしまった。(ひとことでいうのなら)やけに屈託のない音だったからである。

 過去のシングルすべてを聴いてきたのではないが、それなりに彼等の歴史を見渡せば、やはり“耽美”というのか、どこか、影のある印象が強い。

 そういう世界とは、イメージ随分違うなぁ、という訳だ。


ROCK ACADEMIA/GLAY(「G4・ 2020」収録 LSG)メンバー4人それぞれが作曲した楽曲を収録する「G4」。本曲はHISASHI作詞作曲。

 まずイントロでビックリした。いわゆる“オーケストラヒット”通称オケヒットと呼ばれる、80年代にトレバー・ホーンのプロデュースでお馴染みとなった、サンプリング音の“応酬!”だったのだ。ある意味今一番古臭い匂いのする音色ともいえるだろう。それを「あえて使っている」のは聴けば一目瞭然にせよ、こうした“遊び”は彼等の美学にはないものと決めこんでいただけに、結構面食らった。

 ところでこんなご時世、音楽家は、勿論私を含めてだが、暇で暇でどうしようもない毎日だ。ただ、だからといって曲作りがはかどるのかといえば、それはまた別の話。なかなか気持ちの集中もつかず、只々無益に時を過ごしてしまう日々なのは俺がいい見本だ。

 いかん、そんなことでは! と、一念発起し、老骨に鞭打ち、なんとか『 PANDEMIC〜WHO is criminal ? 〜 』という曲を書き上げてみた。

 結果コレが映像も含め、我ながら本気でいい出来なのよ、いやマジ。騙されたと思って、一度是非YouTube見てやって下さいませな、無料(タダ)ですんで。おっとドサクサに紛れて宣伝しちゃいましたァ(笑)。

 閑話休題。

 GLAYにしてもこんな時に新曲だ。きっと通常とは違う気合い/根性が入っていた!? のかどうかはわからないが、何だかこの曲の制作には、聴くひと達に元気を与えたい!といった強い動機のあるのを、私は感じてしまった。

 まぁ、そのへんのことはあくまで個人的な推察/感想なので、適当に聞き流していただいて構わないのだが、この曲のサウンドの明るさというのが、近頃のjpopには稀なものなことだけは断言出来る。

 私は、毎週毎週、こうして原稿を書くために新曲を聴いている訳だが、年を追うごとの傾向として、陽気な気分にさせてくれるjpopは本当に少なくなってきている、と実感するものなのである。

 例えて申せば、夏休みといえば、かつては、スチャダラパーやらORANGE RANGEやらが、あの眩しい青空を見上げた時の心のざわめきを、見事音楽にして残してみせてくれた。そんなことがやたらと遠くに思えてしまうのも致し方のないのが2020年の夏なのだろうが、このサウンドに身を委ねると、今もどこかであの頃とつながっているんだなぁ……という思いにさせられる。それは悪くないものだ。


HELLO/Official髭男dism(ポニーキャニオン)主に島根出身のピアノロックバンド。上京前につくっていた曲を仕上げたという。

 Official髭男dism。

 聴けばそれとわかる、ピアノを中心としたサウンド体系は、ますます揺るぎないものとなった。ここからどんな展開をしてゆくのか、興味深い。

ちかだはるお/1951年東京都生まれ。ミュージシャン。現在、バンド「活躍中」や、DJのOMBとのユニット「LUNASUN」で活動中。近著に『考えるヒット テーマはジャニーズ』(スモール出版)。近作にソロアルバム『超冗談だから』、ベストアルバム『近田春夫ベスト〜世界で一番いけない男』(ともにビクター)がある。

(近田 春夫/週刊文春 2020年9月3日号)