〈あらすじ〉

マドリードに暮らすエレナ(マルタ・ニエト)に、元夫ラモンと旅行中の、6歳の息子イバンから電話が入る。ラモンとはぐれたイバンは、怪しい男に見つかったと震える声で言い残し、失踪してしまう。10年後、エレナはイバンが姿を消したフランスの海辺のリゾート地で、レストランの雇われ店長として働く。夏の間だけパリから家族と移り住んできた、息子の面影を宿した少年ジャン(ジュール・ポリエ)と出会う。ジャンはエレナを慕い、彼女の元を頻繁に訪れるようになる。エレナの恋人やジャンの家族は2人の関係に困惑し、引き離そうとするが……。

〈解説〉

ロドリゴ・ソロゴイェン監督の長編第5作。世界各国の映画祭で50以上の賞を受賞した短編を基にした、1人の女性の再生ストーリー。129分。

中野翠(コラムニスト)

★★★☆☆突然、息子を見失った母親の狂おしさはヒシヒシと。カメラワークや色彩設計も凝っているが、後半の展開に乗れず。

芝山幹郎(翻訳家)

★★★☆☆設定が強引で展開も唐突だが、大西洋と深い森が隣り合うランド地方の気配がよく出ている。執着の映画に恰好の舞台だ。

斎藤綾子(作家)

★★★☆☆子どもを失った悲しみが夫への怒りに変わるのかと思いきや、おやおやの展開。エレナの熟女の色気に何とか救われた。

森直人(映画評論家)

★★★★☆『まぼろし』と『オリヴィエ オリヴィエ』を同時に想起。潮騒の聞こえる淡色の風景が愛の喪失と不条理を詩的に染める。

洞口依子(女優)

★★★★☆愛する人を失った女の感情の振れ幅が情景に共鳴。海は語り、禁断の愛撫に光をみる。日本版なら小泉今日子で観たい。


© Manolo Pavón

『おもかげ』(スペイン、仏)
シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開中
http://omokage-movie.jp/keeper/

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年11月5日号)