韓国でこのような「右翼論争」が起こった背景には、悪化の一途を辿っている日韓関係、いまだ継続中の日本製品に対する不買運動の存在がある。これらの政治的な動きが、韓国人の文化コンテンツの評価にも大きな影響を及ぼしていることを端的に示しているのだ。

韓国でも広がり始めたファン層

 ただ、ネット上での論争とは裏腹に、アニメファンを中心に『鬼滅』人気は日増しに韓国でも高まっている。

 現在、韓国語版の漫画単行本は20巻まで刊行されている。先日は、『鬼滅の刃』の公式ファンブックが出版されて、発売してまもなく初版が完売。その売れ行きは出版界でも話題となったという。

「ファンブックは普通、かなりコアなファンでなければ買いませんが、『鬼滅』のファンブックは刊行から1カ月も経たないうちに初版が完売しました。ファンブックと同時に発売された『1-20巻セット限定版』は、なんと1日で完版。異例の人気だと話題になりました」(韓国の出版業界関係者)

 韓国で『鬼滅』の知名度が高まったのは2019年4月、韓国のケーブルテレビでアニメ版の放映が始まったことがきっかけだった。

 韓国では、アニメ版は残忍な場面が多いという理由で、19歳以上が視聴可となる「19歳等級判定」を受け、吹き替えではなく字幕で深夜枠に放送された。それでも、そのキャラクター、躍動的なアクションシーンが話題となり、口コミで人気が広がったという。現在も、韓国の動画配信アプリの「ウォッチャ」「ラフテル」などでも、常に上位5%内に入る人気コンテンツとなっている。

『鬼滅』は、ユーチューブでも最近、ホットなコンテンツとなった。「鬼滅の最強者ベスト10」「鬼滅の中のラブライン総まとめ」「鬼滅、私たちが知らなかった事実」などのサマリーコンテンツが、1日に何十件もアップロードされ、それぞれ数百万〜数十万回という再生回数を記録している。

 その人気を証明するかのように、『鬼殺の剣』というパクリゲームが登場したこともある。2020年4月に発売されたこのモバイルゲームは、タイトルからイラスト、キャラクターに至るまで、『鬼滅』をそのまま模倣。『鬼滅』のファンから大きな非難を買い、結局は6日でマーケットから追い出された。