まさにコロナ一色になってしまった昨年は、事故物件の世界でも“コロナ関連”の物件がいくつも生まれました。また、「感染拡大防止」の大義名分のもとで、これまでにない変化が至るところで起きた1年でもありました。今回は事故物件の観点から、令和2年(2020年)の重大事件を振り返ってみましょう。(全2回の1回目/ 後編に続く )


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4月には最初の「コロナ殺人」が起きていた

 “コロナ関連”の事故物件で言いますと、「コロナ殺人」とでも言える事件が最初に起きたのは、なんと4月5日。7都府県に緊急事態宣言が出されたのが4月7日ですから、それよりも2日早いタイミングでした。

 事件が起きたのは、東京都江戸川区のマンション。近くに川が流れるその街に、50代の夫婦が住んでいました。その日、夫婦は一緒に夕食を食べ、その後も酒を飲んでいたようです。しかし、もうすぐ日付が変わろうとする頃、妻がこんな言葉を口にしました。

「コロナのせいで私の給料が下がった。あなたの稼ぎも少ないから、これでは生活できない――」。妻もパートで働き、家計を支えていたようですが、コロナの影響で徐々にシフトも減っていたのでしょう。しかし、この言葉にカッとなった夫は、妻に暴行を加え、死なせてしまったのです。

 2人が住んでいた部屋はマンションの最上階にあり、家賃もそれなりの金額だったと思われます。妻からすれば目の前の危機感を吐露した言葉だったのかもしれませんが、夫はそれを「罵られた」と受け取ってしまったようです。おそらくこれが、日本で最初に起きた「コロナ殺人」でした。

“受験殺人事件”の裁判に幕

 また、昨年は感染拡大を防ぐために、様々な業界でイベントや業務の中止・制限が行われました。しかし、犯罪を取り締まる警察や裁判所はもちろん動き続けなければなりません。緊急事態宣言が解除され、徐々に自粛ムードが解け始めた6月には、ある重大事件の裁判が幕を閉じました。

 それは、4年前に起きた受験殺人事件です。愛知県名古屋市のマンションで、中学受験のため勉強を続けていた小学校6年生の息子を、父親が包丁で刺殺したという衝撃的な事件で、当時の報道を鮮明に覚えている人も多いのではないでしょうか。