「ここは事故物件です」と嘘をつく業者

 そこで近頃増えているのが、「事故物件である」と嘘をつくパターンです。駅から近く、部屋も広い。しかも家賃はお手頃……そんな物件を見つけて不動産屋を訪れると、営業マンが声を潜めて「実はこの部屋では、前の住人が自殺しているんです」などと告げるのです。

 私から見ると、これは非常によくできた嘘と言えます。宅建業法により事故物件には「告知義務」が存在します。業者は契約が成立する前に、そこが事故物件であることを借り主(買い主)に伝えなければなりません。しかし、これはあくまで契約時、判子を押す段階での定めであり、広告には、わざわざ「ここで自殺がありました」などとはっきり書く必要はないのです。

 

 また、事故物件であると言われたらほとんどの人が「じゃあ、やめておきます」と答えますし、さらには検討段階でそうした“不利な情報”まで隠さず伝えてくれる業者に対して、「この不動産屋はとても親切で、信頼できる」と思う人も多いでしょう。“秘密”を共有することで、客と営業マンの距離がグッと縮まるという効果もあるかもしれません。

業者にとっては“良いこと尽くし”だけど……

 まさに不動産業者にとっては良いこと尽くしの“嘘”なのです。ただ、このやり方も少しずつバレるようになってきています。それは、業者から「事故物件である」との話を聞いた客の中から、「大島てる」にその情報を書き込んでしまう人が出てきたからです。

 書き込む人からすれば、不動産屋から聞いた確かな話として情報を載せてくれるわけですが、それを見つけた物件のオーナーから「これは間違いだ」と私のもとに苦情が来るようになったのです。そこで元を辿りながら調べてみると、そもそも業者がおとり広告として使うために嘘をついていた……というケースが非常に多いのです。