2018年に公開され世界中で大ヒットを記録し、第91回アカデミー賞で四冠を受賞した映画「ボヘミアン・ラプソディ」。不世出のシンガー、フレディ・マーキュリーを軸にロックバンド、クイーンの軌跡を描いた伝記映画であると同時に、クイーンのヒット曲が使われた音楽映画でもある。

 今回は、そんな劇中に使われている主なクイーン楽曲のバックボーンを振り返っていこう。


クイーンのメンバーであるロジャー・テイラー(左)とブライアン・メイ(右)に挟まれる主演のラミ・マレック ©getty

20世紀フォックス・ファンファーレ 

 この映画が「ただの映画」でないことは、本編が始まる前に流れる映画会社、20世紀フォックス社のファンファーレからもわかる。耳に馴染んだ、あのテーマ曲とはちょっとアレンジが違う。そう、これを演奏しているのはクイーンのブライアン・メイ。ギターを幾重にも重ねたギター・オーケストレーションと呼ばれる華やかなクイーン・サウンドで映画は幕を開ける。

愛にすべてをSomebody To Love 

 冒頭で描かれるのは映画のハイライト・シーンであるコンサート「ライブ・エイド」当日の朝。背景に流れるこの曲は1976年に発表されたフレディ・マーキュリーの作品、「愛にすべてを」だ。

 クイーンといえばメンバーの声を何度も何度も録音を重ねて作り上げる重厚でゴージャスなコーラス。「ボヘミアン・ラプソディ」ではオペラ合唱団を披露した彼らが、ここではゴスペル聖歌隊のようなパワフルなコーラスを聴かせる。歌詞の中の“Can anybody find me somebody to love?(誰か僕に愛する人をみつけて)”が、映画全編を通じて訴えるフレディの魂の叫びを代弁しているかのようなオープニングである。

キラー・クイーン Killer Queen

 初めてのテレビ番組の収録のシーンで演奏される曲は「キラー・クイーン」。1974年10月に発表された3枚目のシングルで、イギリスではチャート最高2位を記録するヒットとなった。後のシーンで「『キラー・クイーン』のような曲が欲しい」とレコード会社の重役から言われるシーンが出てくるが、まだまだデビュー3年目の新人バンドだった彼らにとって、それだけ飛躍の一曲だったといえるだろう。

 ちなみに1975年、そんな新人バンドに大がかりなツアーを組み、滞在中は最大級のおもてなしをした国があった。それが日本である。

 以来、クイーンと日本は特別な関係にある。初来日では日本武道館を始めとしたステージに立ち、日本びいきとなった彼らは計6回の来日公演を果たす。特にフレディは大の親日家でプライベートでも来日したほどだ。映画でも日本の着物風のガウンをまとう姿が何度か映し出され、ミュンヘンの自宅玄関には京都・金閣寺の護符が貼られていた。