朝ドラは初週で判断すべきではない。初週はぜったいヘンに力が入っている。やんちゃな主人公(まだ幼女)が登った木から落ちて大騒ぎとか、同じような場面を何回見たか。朝ドラなんて気がつかないうちに次のドラマに変わってたぐらいの導入だっていいじゃないの。「え、これ『おちょやん』じゃねーのかよ!」みたいな。そっちのほうがよっぽど衝撃的では。

『おかえりモネ』も第1回は嵐で人が叫び妊婦が産気づくが惨劇にはならないという導入で「またかよ」と思うが、これは「お約束」。ここから「作り話みたいな(作り話だが)出来事が相次いで」なんとなく落ち着かないまま1週間ぐらい過ごすと。それがここんところの朝ドラです。

 が、なんか様子がちがう。

 2回目からもう流れが遅くなり始め、これから何かが起こりそうな気がしない。でもそれが失敗ではなく、そう進めていると思える。ダラダラとどうでもいいエピソードが続いて話が転がらないのは朝ドラ失敗作あるあるだが、これは「あえて転がしてない」ような。

 キャストはすごい豪華である。『おちょやん』から続けて見てると、目がチカチカしそう。内野聖陽と西島秀俊ときたら「おい、この二人はいずれデキてしまうのか(『きのう何食べた?』をついひきずってしまう)」だし、金髪の盛り上げ髪の夏木マリがズーズー弁の老嬢で山姥的な存在だったり、なんというか、キャラはハデ。宮城の山の中なのになんかみんなオシャレだし、こぎれい。思えば『おちょやん』はこぎたなかったなあ。

 しかし『おかえりモネ』にうわついたものはない。重いテーマを秘めつつ、静かでオシャレでほのかに切なくクスッと笑わせる、ことを狙ってるような……これってどこかで見たことがあるような……NHKの地域発ドラマだ!

“各地のNHKが、地域密着の取材を通じて発掘したテーマで、それぞれの地域ならではの魅力を描く”という、あれですよ。

 その空気感を圧倒的にかもしだしてるのは主役の百音(ももね)だと思う。清原果耶。


「おかえりモネ」ヒロインの百音を演じる清原果耶 ©AFLO

 暗いの。

「明るく伸びやかな性格」なはずなのに、どこか素人っぽい暗さがある。それがいい方に出て、手垢のついてない、ささやかな感動を引き出す地域発ドラマっぽさをかもしだしている。地域発ドラマ愛好家としては、ついにこの分野にNHKの本丸が乗り込んだ作品、それも半年の長丁場だ、注目しないわけにはいかない!

 ……といいつつ、朝ドラは初週で判断すべきでないって自分で言ってたろう。このままこの調子で続いていったとしても、地域発ドラマは単発だから見られるのであって長尺だと途中でゲンナリするかもしれないし。がんばってくれええ。

INFORMATION

『おかえりモネ』
NHK 月〜土 8:00〜
https://www.nhk.or.jp/okaerimone/index.html

(青木 るえか/週刊文春 2021年6月10日号)