「特定の事業者を指名することはありません」

 当の平井氏はどう答えるのか。事実関係の確認を求めたところ、書面で主に以下のように回答した。

「(一連の発言は)4月7日の内部の会議ではないかと考えております。

 松尾先生は特に人工知能・ディープラーニング分野における第一人者であり、大臣就任以前から、長年、党のデジタル政策などについて、御助言をいただいています。

 会議において『ACES』に言及したことはありませんが、いわゆる大手ベンダーのシステムに拘ることなく、ベンチャー企業を含めてしっかり勉強していくようにという趣旨で事務方に話をしたように思います。何らかの調達行為を行う場合には、法令に基づき公正中立に行うべきものであることは当然と考えており、特定の事業者を指名することはありません」

 だが、音声データの通り、平井氏は4月7日の会議で「ACES」という特定の企業名を出した上で「そこの顔認証、NECより全然いい」などと口にしている。「NECには死んでも発注しない」などの発言について「国民目線で調達の無駄をなくしていくという強い決意を持っていた」と釈明していたが、実際には親密なベンチャー企業への発注を求める意図があったとすれば、説明責任が問われる事態となりそうだ。

 6月16日(水)16時配信の「週刊文春 電子版」及び17日(木)発売の「週刊文春」では、官製談合防止法違反の疑いが指摘される平井氏の発言の詳細のほか、交友関係が華やかな平井氏の人物像、NECとACESが持つ顔認証技術の比較、問題の発言が出たオンライン会議の重要性、取材に対する松尾氏や向井氏の回答などを詳報している。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年6月24日号)