志村がいなくなってしまった後に

 志村がいなくなってしまった……。体が引きちぎられたような、自分のどこかが死んでしまった感覚に陥り、映画の今後を嘆いた。そんななか、5月16日に沢田研二が志村の代役を務めることが発表された。この報には「そうだよ、ジュリーがいたじゃないか!」と大いに納得かつ興奮、松竹本社のある東銀座駅の方角に深々と頭を下げた。

 同じ格好をしたふたりが鏡のあちら側とこちら側であれこれとやらかす“鏡コント”、志村がスター、ジュリーがダメな付き人に扮した“付き人コント”を筆頭に「8時だョ!全員集合」(TBS・69〜85)「ドリフ大爆笑」(フジテレビ・77〜)では数々のコントで笑いをさらい、それ以外でもラジオ「沢田研二・志村けんのジュリけん」(文化放送・01〜03)ではふたりでパーソナリティを務め、久世光彦演出の舞台『沢田・志村の「さあ、殺せ!」』(03)でも共演を果たしている。

 その付き合いは、駆け出しだったころから50年。志村とジュリーは“加トちゃんケンちゃん”“志村と田代まさし”“志村と柄本明”と並ぶ名コンビにして、盟友だったのだ。ゆえにジュリーの抜擢に疑問は抱かなかったし、彼以外にできる者はいなかったと思う。

「今日の昼から空いています」と返事をしたジュリー

 一方のジュリーも、盟友の突然の死に思うところがあったのだろう。プロデューサーから代役のオファーについてのメールが届くや「今日の昼から空いています」とすぐさま返事をして、東宝スタジオにいた山田監督と対面。翌日には「やらせてもらいます」と快諾したという(※2)。

 代役決定の発表と共に、ジュリーは「志村さんの、お気持ちを抱き締め、やり遂げる覚悟です」、志村が所属したイザワオフィスの井澤健社長は「長年親交のあった沢田研二さんがご出演されると聞き、志村けんも大変喜んでいると思います」とコメント。このふたつの言葉には胸を打たれるものがあった。