〈あらすじ〉

16歳で父カール・マルクスの秘書となったエリノア(ロモーラ・ガライ)は、社会主義者の会合に参加し、女性の権利や労働環境の改善のために活動してきた。母に続き父を亡くした28歳のエリノアは、劇作家・俳優で社会主義者のエドワード・エイヴリング(パトリック・ケネディ)と出会い、恋に落ちる。既婚者のエドワードの内縁の妻となることを選ぶが、彼は大の浪費家でプレイボーイだった。それでも献身的な愛を捧げるエリノアの精神は、フェミニストとしての理想と私生活の乖離に蝕まれていく。

〈解説〉

『資本論』で知られる19世紀の哲学者で経済学者カール・マルクス。彼の末娘の激動の半生を描く。脚本・監督は『コズモナウタ 宇宙飛行士』のスザンナ・ニッキャレッリ。107分。

中野翠(コラムニスト)

★★★☆☆マルクスの娘とは言え、スポイルされた子どもパターンの陰気な話。ひたすら衣裳・調度・街並の時代色を楽しむことに。

芝山幹郎(翻訳家)

★★★☆☆マルクスの娘という着想が新鮮に見えるが、語り口が平板で、音楽の使い方が疑問。「不運の考察」と読むことはできる。

斎藤綾子(作家)

★★☆☆☆父親の七光りの自覚もなく天真爛漫に労働者や女性の権利を求め闘う娘。ダメ男に貢ぐ姿も痛々しい。選曲の挿入も陳腐。

森直人(映画評論家)

★★★★☆「父のようなダメ男」との恋に囚われた闘士の矛盾。神話解体の視座からバッドフェミニスト的な魂が拳を突き上げる。

洞口依子(女優)

★★★☆☆セットデザインと衣装のおかげで画面構成が素晴らしい美的力を放っている。パンキッシュな音楽もヒロインに合ってる。


Photo by Emanuela Scarpa © 2020 Vivo film/Tarantula

『ミス・マルクス』(伊、ベルギー)
9月4日(土)よりシアター・イメージフォーラム、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
https://missmarx-movie.com/

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年9月9日号)