〈あらすじ〉

第二次世界大戦下のヘルシンキ。画家のトーベ・ヤンソン(アルマ・ポウスティ)は戦火の中で、「ムーミントロール」の物語を描くことで気を紛らしていた。終戦後、著名な彫刻家でもある厳格な父親から逃れるように、アトリエを借りて本業の絵画制作に打ち込むが、貧しく満たされない日々が続く。政治家のアトス・ヴィルタネン(シャンティ・ローニー)の愛人となった後、ブルジョアの舞台演出家、ヴィヴィカ・バンドラー(クリスタ・コソネン)と出会い、激しく愛し合う。同性愛が犯罪だった社会における2人の秘密の関係や、自由を求めるトーベの精神が、ムーミントロールの物語に反映されていく。

〈解説〉

ムーミンの生みの親、トーベ・ヤンソンの半生を綴る伝記映画。『マイアミ』のザイダ・バリルート監督作。103分。

中野翠(コラムニスト)

★★★☆☆「ムーミン」の作者の物語だが、奔放な私生活描写が中心なのが物足りず。「ムーミン」創造の過程をもっと見たかった。

芝山幹郎(翻訳家)

★★★☆☆変わり者が主人公の割には型どおりの伝記映画。ぶっきらぼうなタッチを挿入し、凡庸なメロドラマを回避したのは納得。

斎藤綾子(作家)

★★★★☆第二次世界大戦下でムーミントロールが生まれたとは! トーベ自身の生き方がLGBTQのハートを掴む事、間違いなし。

森直人(映画評論家)

★★★☆☆特に性愛の観点から『ムーミン』の作者像と精神に迫った興味深さ。その反面、創作の秘密をやや一面化しているきらいも。

洞口依子(女優)

★★★★☆トーベの魅力を存分に活写する主演女優。衣裳のセンスも繊細。ムーミントロール誕生のきっかけが少しわかった気分に。


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『TOVE/トーベ』(フィンランド、スウェーデン)
10月1日(金)より新宿武蔵野館、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
https://klockworx-v.com/tove/

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年9月30日号)