〈あらすじ〉

1971年、ニューヨーク。フォトジャーナリストとして一世を風靡したユージン・スミス(ジョニー・デップ)は、今では酒に溺れる日々を送っていた。ある日、アイリーン(美波)という女性の依頼を受けて、熊本県水俣市を訪れる。そこでは大企業チッソの工場から排出される有害物質により、地元の人たちが体を蝕まれて命を落としていた。ユージンは水俣病に苦しむ人々や、山崎(真田広之)を中心に抗議の声を上げる人々、それをチッソが力で抑え込む光景などをフィルムに焼き付ける。チッソの社長(國村隼)からの、5万ドルと引き換えにネガを渡して帰国しろという要求を拒絶したために、ユージンの暗室が何者かに放火されてしまう。追い詰められたユージンが、水俣の人々に改めて協力を求めたことで、歴史に残る一枚の写真が生み出される。

〈解説〉

1975年に発表された写真集「MINAMATA」を題材にした伝記映画。アンドリュー・レヴィタス監督の長編第2作。115分。

中野翠(コラムニスト)

★★★★☆好悪の感覚で語れるような映画ではなく、「観るべき映画」。B・ナイ、J・デップ、日本の俳優達の熱も伝わって来る。

芝山幹郎(翻訳家)

★★★☆☆映画の底に祈りは感じられるし、漁村の風景も痛いほど美しいが、ところどころで紋切型が顔を出す。微妙にもどかしい。

斎藤綾子(作家)

★★★★★水俣病の実際の映像が美しい演出に刺さる。復興五輪のお弁当大量廃棄を連想する場面もあり、遠く無縁な話ではない。

森直人(映画評論家)

★★★★☆ハリウッド流儀のスター映画で、この主題を成立させる力には素直に驚いた。日本側の俳優陣も素晴らしく、堂々の出来。

洞口依子(女優)

★★★★☆償いについて、忘れたい面、もっと知って欲しい面、それぞれが様々にプリズムしている。映画からの気づきは大きい。


© 2020 MINAMATA FILM, LLC
© Larry Horricks

『MINAMATA―ミナマタ―』(フィンランド、スウェーデン)
全国公開中
https://longride.jp/minamata/

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年10月7日号)