〈あらすじ〉

企業のお客様相談センターで手話部門を担当しているギョンミ(チン・ギジュ)は、自分と同じく聴覚に障害のある母親と、二人でソウルに暮らしている。ある夜、血を流して倒れている若い女性ソジュンを発見したギョンミは、その様子を観察していた連続殺人鬼ドシク(ウィ・ハジュン)の次のターゲットにされてしまう。襲いかかるドシクの足音が聞こえず、助けを呼ぶ声も上げられないという絶体絶命のピンチをなんとか逃れ、ギョンミは母親と合流する。帽子とマスクで顔を隠していたドシクはすぐさまスーツに着替え、ソジュンの行方を心配する兄を装い、二人に声をかける。

〈解説〉

聴覚障害者の親子が変幻自在のシリアルキラーに執拗に追い回される一夜を描くスリラー。監督・脚本は、本作がデビュー作となるクォン・オスン。104分。

中野翠(コラムニスト)

★★★☆☆若い女と殺人鬼、一対一の知恵較べという趣向は面白いが、全体を通して見ると、案外、平板。ささいな疑問もいくつかあり。

芝山幹郎(翻訳家)

★★★★☆脚本に穴が目立つが、上出来のスリル・ライド。内角高目を攻めまくる度胸と、役者の走力を強調する編集術を買いたい。

斎藤綾子(作家)

★★★★☆聞こえない日常で命を狙われたら、これほどまでに周囲の理解を得られないのか。身を守るには行動自粛でも脚力が肝心。

森直人(映画評論家)

★★★★☆心躍る演出。ハッタリと小技が巧く組み合っている。視覚と音響、ロケの空間設計も工夫が光る追走のスリルとアクション。

洞口依子(女優)

★★★☆☆映画との相性良い聴覚障害者と殺人鬼。女優の演技、サウンドデザインなど技有り。これがデビュー作とは韓国恐るべし。


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『殺人鬼から逃げる夜』(韓)
全国公開中
https://gaga.ne.jp/satujinki/

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年10月7日号)