〈解説〉

ドキュメンタリーの巨匠、フレデリック・ワイズマン監督作。『パリ・オペラ座のすべて』や『ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス』など、一つの組織や施設を題材にしてきたワイズマンが本作で選んだ舞台は、自身の生まれ故郷でもあるマサチューセッツ州ボストンの市庁舎だ。カメラは警察、消防、保健衛生、高齢者支援、出生、結婚、死亡記録など、数百種類ものサービスを提供する市役所の仕事の舞台裏を映し出す。多様な人種・文化が共存する大都市ボストンを率いるのは、アイルランド移民のルーツを持つマーティン・ウォルシュ市長。「市民のための市役所」を目指し、根気強く対話を重ねスピーチをする彼の姿から、アメリカ民主主義の根幹が浮かび上がる。274分。

中野翠(コラムニスト)

★★★★☆市民と役人の対話の数かずに思わず羨望が。民主主義という言葉を信じさせてくれる。274分という長さも苦にならず。

芝山幹郎(翻訳家)

★★★★★骨身を惜しまずに語る人々を見ていると上映時間を忘れてしまう。他者がいる限り民主主義は必要、と教えてくれる映画。

斎藤綾子(作家)

★★★★☆あまりの長さに狼狽。だが場面によっては驚くほど集中して聞き入った。自分の事を話せる場がどれだけ重要か、実感。

森直人(映画評論家)

★★★★★建設的な社会見学。ロールモデルを現実から切り取り、最良のシステムとは何かを考える契機となる。市長の求心力も!

洞口依子(女優)

★★★★☆前作然り公とは何か。まるでタランティーノが足裏を愛する様なワイズマンの好奇心と愛が詰まった観察眼。長尺覚悟。


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『ボストン市庁舎』(米)
11月12日(金)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
https://cityhall-movie.com/

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2021年11月18日号)