〈あらすじ〉

オクラホマ州スティルウォーターに暮らすビル(マット・デイモン)は、慣れた様子でフランスのマルセイユへ向かう。旅の目的は、娘のアリソン(アビゲイル・ブレスリン)との刑務所での面会だ。アリソンは、留学中にガールフレンドのレナを殺害した罪で、9年間の刑期に服している。ビルは無実を訴える娘のために、真犯人と思われるアキムという青年を探し始めるが、言葉も文化も違う異国での捜索は難航を極める。ひょんなことで知り合った、英語が堪能なシングルマザーのヴィルジニー(カミーユ・コッタン)と娘のマヤに協力してもらいながら、ビルはアキムに近づいていく。

〈解説〉

娘の無実を証明するために、主人公が異国で奮闘するサスペンス・ドラマ。監督・脚本は『スポットライト 世紀のスクープ』のトム・マッカーシー。139分。

中野翠(コラムニスト)

★★★★☆陽光のマルセイユと殺人事件という対比。丘の大寺院と刑務所。駆け回り逃げ回る。ほぼ観光気分で観た。少女役に注目。

芝山幹郎(翻訳家)

★★★★☆スリラーの衣をまとっているが、愛憎の屈折にしぶとい接近戦を挑んでいる。錆びついたマルセイユの描写が効果的だ。

斎藤綾子(作家)

★★★★☆M・デイモンが切実に凄みのある父親を演じている。少女の眼差しも刺さる。ノンケを熱烈に愛した娘の激情はリアル。

森直人(映画評論家)

★★★★★米国の保守的な労働者が南仏郊外の闇を彷徨う。人種や文化、階層の衝突と融和の可能性に踏み込む。余韻の深さは出色。

洞口依子(女優)

★★★★☆今時こんなに実直でブルーカラーのトランプ支持者な米国の父親役を演じたマット・デイモンのパフォーマンスが出色。


© 2021 Focus Features, LLC.

『スティルウォーター』(米)
TOHOシネマズ シャンテ、渋谷シネクイントほか全国公開中
https://www.universalpictures.jp/micro/stillwater

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年1月27日号)