〈あらすじ〉

2007年、ある地方都市。19歳の大学生・佐伯文(松坂桃李)は、雨の日の公園で10歳の少女・家内更紗(かないさらさ/白鳥玉季)と出会う。家に帰りたくないという少女の気持ちに気付いた文は、更紗を部屋に招き入れる。孤独な二人の平和で幸せな共同生活は、更紗が「被害女児」、文が「誘拐犯」という烙印を押され、2カ月後に終わりを迎える。15年後、更紗(広瀬すず)は恋人の中瀬亮(横浜流星)と静かに暮らしていた。更紗はある日、バイト仲間に連れられて行った隠れ家的なカフェで、マスターとして働く文と偶然再会し……。

〈解説〉

2020年本屋大賞を受賞した凪良ゆうのベストセラー小説を映画化。誘拐事件の“加害者”と“被害者”の烙印を押された男女の深い繋がりを描く。監督・脚本は『怒り』の李相日。150分。

中野翠(コラムニスト)

★★★☆☆そういう複雑微妙な関係もあるだろうとは思うが、えんえんシミジミ調で描かれると妙に醒める。撮影がみごとなだけに。

芝山幹郎(翻訳家)

★★★☆☆全体的に「不幸のコク」が足りないが、松坂桃李に眼を惹かれた。エゴを捨てて役に身を投げ、無意識を揺り起こしている。

斎藤綾子(作家)

★★★★★世間の好奇心が断定する傷とは真逆の想いを、観客の心に穏やかに膨らませる演出が素晴らしい。横浜流星の演技に悶絶。

森直人(映画評論家)

★★★☆☆横浜流星には驚いた。だが役者陣の頑張りが物語レベルと接着しない印象。「熱演」のショーケースに留まってはいないか。

洞口依子(女優)

★★★☆☆濡れたヒロインの大胆さに時折、昔の大映女優を重ねたくなる。忽然と現る内田也哉子の樹木の根幹的な魅力は見過ごせない。


© 2022「流浪の月」製作委員会

『流浪の月』(米)
5月13日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
https://gaga.ne.jp/rurounotsuki/

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年5月19日号)