2015年には、「科捜研の女」で京都府警のイメージアップに貢献したとして、坂井孝行府警本部長から感謝状が贈られた ©共同通信社

 マリコくん、面白いねえ。沢口靖子が演じる法医学研究員、榊マリコの一挙手一投足のすべてが目に心地よく、気づけばエンディングだ。

 一九九九年にスタートした『科捜研の女』は、今期でついに17シーズンに達した。本邦最長の連続テレビドラマ・シリーズではないか。

 京都府警の科捜研を舞台にして、最先端の科学捜査によって難事件を解決するドラマだが、沢口靖子なしでは、ここまでの長寿シリーズにはならなかっただろう。

 全体の印象は地味だ。しかし殺人事件がおき、現場にマリコくんが到着し、血痕、生体反応、死後硬直などを確認し、なお残る謎を“科学”で解決しようとしたとき、ドラマもテンポよい劇伴をバックに動きだす。

 沢口靖子がNHKの朝ドラマ『澪つくし』のヒロインを演じたのが八五年だ。たしかに美人なんだろうが、この人には一体なにが似合うのか。

 ところが、思わぬところに椅子が用意されていた。科学が命のリケジョだから、セリフの棒読み感は気にならないどころか、むしろ設定にはぴったり馴染む。

 科捜研のメンバーではない洛北医大の法医学教授の風丘早月(若村麻由美)との会話も笑える。被害者のMRI検査をしてくださいと、能面顔で依頼するマリコ。

「MRI検査ぁ? ちょっとちょっと待ってよ……ご遺体をMRIに入れる許可とるのに、どんだけ大変かわかってるよね?」。間髪入れず「もちろんです!」と大声で答えた彼女の次の言葉は「きょう中にお願いします」だ。すべては科学捜査のために。

 一流作曲家の浮気妻が変死した事件では、謎のポイントを探るため、クラシックをBGMに、怪しく体を揺らしてタクトを振るマリコ。

 カップルの男性が刺殺される事件がおきた。恋人の女が脅えて男を抱きしめているところを犯人がブスリ。この状況に納得できないマリコは、同僚の宇佐見(風間トオル)を相手に仲間の前で、抱擁シーンを再現する。科捜研メンバーは、口をアングリ。私は表情ひとつ変えずに、困惑する宇佐見を強く抱きしめる沢口靖子に大笑いだ。そういえば、大昔にタンスにゴンのCMで、大受けしてたな。

 オンタイムで観るもよし、昼間の再放送で十年前の沢口を観るもよし。『相棒』からかつての勢いが消えたいま、テレ朝を支える欠かせぬコンテンツが『科捜研の女』だ。

▼『科捜研の女』
テレビ朝日 木 20:00〜20:54

(亀和田 武)