大手マスコミの元気な若手社員「恋ちゃん」と、その先輩で重度のこじらせオタク・小石輝のガチンコシネマトーク。今回はいよいよ「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」編です。その出来を高く評価しつつ、どうしても納得いかない点もあると言う小石輝。とうとう「自分にとって理想のクライマックス」を妄想してしまいます。果たしてその内容は? ネタバレありなので、未見の方はご注意を。

エピソード8のルーク=「自信と威厳なき現代の熟年世代」

恋ちゃん「小石さん、小石さん。『最後のジェダイ』もう観ましたよね!」

小石輝「うん、まあな」

恋「おもしろかったじゃないですか! これまでスター・ウォーズは『まあ、お付き合いしておこうかな』という程度だったんですけど、今回は観ていて結構ハマリましたよ。従来のシリーズにあった数々の『お約束』をどんどん裏切りつつ、物語がヒートアップして、最後には怒濤の盛り上がり。各キャラクターも生き生きしているし、『エンターテインメントの王道』と言っていいぐらいの出来だと思いましたけど」

小石「確かになあ……」

恋「あれれ、ノリが悪いですねえ。何か気に入らなかったところでもあったんですか?」

小石「いや、君の感想はすごくまっとうやと思うよ。まあ、オレのひっかかりの半分は、中学生以来、オレがずっと愛し続けてきた『従来のスター・ウォーズ』はこれで完全に終わったんやなあ、という感傷。後は、『ものすごくよく出来た作品やけど、一番肝心な所が抜けとるんやないか』という不満。そして『これで次にうまく続けられるんかいな』という不安やな」

恋「ふーん。スター・ウォーズは面倒くさいことを考えずに、素直に楽しむのが一番だと思いますけどね。それに、今回はタイトル通り『最後のジェダイ=ルーク・スカイウォーカーの物語』と言ってもいいぐらい、ルークが美味しい所をかっさらっていったじゃないですか。オールドファンも大満足だったと思うんですけど」


2017年4月、アメリカ・オーランドで行われた「スター・ウォーズ・セレブレーション」©getty

小石「オレも『ルークの物語』としては、完璧な出来栄えやったと思う。一番良かったのは、ルークを成熟した大人ではなく、『挫折し、自信を喪失した、むさ苦しいオヤジ』として描いたことやな。朝日新聞の石飛徳樹記者が紙面で指摘していた通り、ルークは『自信と威厳を持ち合わせない現代の熟年世代を体現する存在』と言ってええやろう。自らの甥であるベン・ソロ=カイロ・レンを導く上で致命的な過ちを犯し、そのトラウマのせいで、新たに教えを求めてきた主人公のレイとも、まともに向き合えない。

 1回目に観た時には『なんでオレたちのルークが、こんな情けないヤツになってしもうたんや!』とイライラしたけど、2回目で『ああ、オレたち自身のことを描いているんか』と気づいたら、すうっと納得できたわ」

恋「そう言えば、小石さんも仕事ではもう後輩を指導するべき年代なのに、自分のことばかり熱心で、ほとんど構ってあげませんよね。たまに若手社員と組んでも、ダメ出しするばっかりで、建設的アドバイスや励ましはゼロ。確かにレイに対するルークの態度を彷彿とさせますね(皮肉な笑み)」

小石「ギクッ……(汗)」

恋「一人で勝手に悟りを得て、フォースを使えるようになる日も近いのでは(微笑み)」

小石「……(クソッ、こいつの毒舌には勝てん!)。何とでも言えや。君にはルークや俺の苦悩と孤独は、到底理解できんやろうからな。そこをきちんとフォローしてくれたのが、まさかの再登場を果たしたヨーダや。『Young Skywalker、Missed you, I have. (若きスカイウォーカーよ、会いたかったぞ)』『失敗こそが最高の教えじゃ』なんて、あの厳しかったヨーダが、こんなにも温かい言葉をかけてくれるとは……。もうそれだけで、涙があふれそうになったわ」


エピソード5「帝国の逆襲」のルーク・スカイウォーカーとヨーダ ©getty

恋「(完全に自分とルークの見分けがつかなくなっている。やっぱりこの人は本物のアホだ!)。それはよかったですねえ……」