「歩き方」の変化で気づける

 厚労省は全国の保険医療機関のレセプトを管理し、データベース化している。佐方氏は、このデータベースから2015年四月〜16年3月の一年間に、65歳以上の新規に抗認知症薬(5種類)を処方された人を抽出。約26万2279人が該当した。

 甲状腺機能についての血液検査を受けていたのは、クリニックなどの診療所では二25.8%、20床以上の病院で28.3%、全国に226カ所(16年3月現在)指定されている認知症疾患医療センターで57.1%。全体の実施率は32.6%という結果にとどまった。

 日本神経学会が出している『認知症疾患診療ガイドライン』によれば、特発性正常圧水頭症(後述)などと併せ、甲状腺機能低下症も鑑別するように指針されているのだが……。

「正直、診療所と病院における実施率は相当低いと思います。認知症疾患医療センターはもう少し高い結果、70%くらいの実施率と予想していましたので、これも意外でした」(同前)

 ただ、レビー小体型認知症などで見られるせん妄や物盗られ妄想、幻覚を訴えるといった典型的な症状により、甲状腺機能低下症の可能性は低いと判断されることもある。こうしたケースでは甲状腺機能検査が行われない事情もあり、低い実施率になった可能性はあるという。

「いずれにしても、甲状腺機能低下症をチェックしないといけない、ということを知らない医師もいるのではないかと思います」(同前)

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 続きは『 最新予防から発症後の対応まで 認知症 全部わかる! 』に収録されています。

6種類以上の薬の併用で認知症に似た症状も… 家族の異変を見逃すな へ続く

(「週刊文春」出版部)