「うちの会社、養殖をやっているんですよ」。昨年の秋、JR西日本の広報担当者と話していたときにこう言われた。改めて調べてみると、鳥取県で養殖している「お嬢サバ」などはブランド化していて一部では人気になっているらしい。が、「お嬢サバ」の名前こそ聞いたことがあったが鳥取県知事お得意のダジャレのひとつだろうくらいに考えていて、まさかJR西日本がやっているとは思いもよらなかったのである。

「お嬢サバ」「とれ海老やん」「白雪ひらめ」……ダジャレの嵐

 さらに聞けば、サバだけでなく牡蠣やマス、車海老にフグ、ヒラメと実にさまざまな魚介類の養殖を手がけているのだという。名付けて「プレミアムオーガニックフィッシュ」。ユニークネーミングは「お嬢サバ」だけでなく、「オイスターぼんぼん」「べっ嬪さくらます うらら」「とれ海老やん」「大吟雅(だいぎんが)とらふく」「白雪ひらめ」。鳥取県知事もびっくりのダジャレの嵐である。鉄道会社といえば言葉は悪いが“お堅い会社”のイメージがあるのに、こうもくだらないダジャレの嵐でいいのだろうか、と他人事ながら不安になってしまうくらいだ。


ブランド化して人気の「お嬢サバ」

なぜ鉄道会社が養殖事業を?

 で、ダジャレネーミングはさておいて、そもそも気になるのはどうして鉄道会社が養殖などというまったくの別ジャンルに進出したのか。JR西日本創造本部で養殖事業のサブリーダーを務める石川裕章さんに教えてもらった。

「鉄道は地域に支えられています。地域あっての鉄道、弊社だと思っています。ですが、最近は地方の衰退が社会的な課題のひとつ。特に地方では一次産業が衰退し、それに伴って地域そのものの衰退につながっている。そうした中で、地域に支えられている弊社としては、地域活性化に取り組むことは重要な責任のひとつです。そこで、沿線でも盛んな水産業を変革し、新たな産業に育て、雇用を生んで地域を元気にするという目的をもって養殖を手がけることにしました」

 確かに、新幹線のような長距離列車はともかくとして、大半の鉄道路線というのは通勤通学で毎日のように使う地域の人たちに支えられている。そうした地域の活性化を促すために、養殖という第一次産業に参入した、というわけだ。ただ、それは決して最初から成功が約束されたものではなかった。