密売7割が暴力団……「報復の恐れ」

 実は、薬物の所持・使用などで逮捕された容疑者が入手ルートについて明かさないことは、珍しいことではない。

 司法関係者は「薬物の売人は実名を名乗ることも少なく、そもそも客は自分が誰から買ったか、わかっていないことも多い。わかっていたとしても、売人のバックには暴力団がいるのが確実で、報復を恐れて供述しないのがむしろ普通」と解説する。

 伊勢谷被告の釈放も相場を大きく外れたものではないということになる。

 警察庁の統計では今年1〜6月に薬物事件で検挙された6321人のうち、暴力団関係者は3割以上を占める。密売事件に限れば暴力団関係者の割合は7割近くに上り、入手ルートの供述が暴力団関係者への捜査に発展する確率はかなり高い。ひいては「報復」の恐れも増すことになる。

ピエール瀧や沢尻、ASKAより法律上、罪は軽い

 伊勢谷被告とほかの芸能人の事件との違いには、薬物の種類もある。伊勢谷被告が逮捕された容疑は大麻の所持。ピエール瀧や沢尻、ASKAが手を出したのはコカイン、MDMA、覚醒剤などで、大麻はこれらの薬物よりも法律上、罪が軽いのだ。

 大麻の単純所持罪は最大懲役5年だが、コカイン・MDMAの単純所持罪は最大7年、覚醒剤の単純所持罪は最大10年。しかも、大麻は所持に罰則はあっても個人的な使用に罰則はない。

「大麻は《使用》で再逮捕できない」

 捜査関係者は「大麻は覚醒剤などの薬物と違って使用で再逮捕できないので、勾留期間がそもそも短く、容疑者を『落とす』時間も限られる」と話す。

 選んだ薬物が大麻でよかった、と伊勢谷被告が考えるか、どうか。「入手ルートを明かさなければ芸能界復帰は難しい」とする声も上がっており、問われているのは伊勢谷被告の価値観だ。

(末家 覚三/Webオリジナル(特集班))