「これではGoToトラベルというよりGoToトラブルです」。とある旅行会社の関係者は憤りを隠せない様子でそう語る。10月から東京発着の旅行も対象に加わり、盛り上がりが期待されるGoToトラベルキャンペーンだが、じつは水面下でさまざまなトラブルが起きているという。

 そもそも始まる前から東京がキャンペーン対象から除外される混乱があったうえ、つい先日も「Yahoo!トラベル」「じゃらん」などの大手宿泊予約サイトがGoToトラベルの割引上限額を1人1泊あたり3500円に引き下げると唐突に発表、それを数日で撤回する騒動が起きたばかりだ。

 菅総理の肝いりだったはずのGoToトラベルは、なぜトラブル続きなのか。その舞台裏について2人の旅行会社関係者に詳しく話を聞いた。

(取材・文=押尾ダン/清談社)


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JTBが事務局となることが既定路線だった

 東京に本社のある旅行会社に勤務する山本高広氏(仮名)は、7月22日のキャンペーン開始当初からGoToトラベルに振り回され続けてきたひとりだ。

――大手宿泊予約サイトが10月10日以降の予約を1人1泊あたり3500円に制限すると発表し、それを受けて政府がGoToトラベルの予算枠を追加配分するという騒動がありました。なぜあんなことが起きたんですか。

山本 その理由を説明するには、まずGoToトラベルの運用を政府から委託されたJTBを中心とする事務局について知っていただく必要があります。委託先はいちおう入札で決まったのですが、最初からJTBが事務局となることが既定路線だったと聞いています。

 そこに近畿日本ツーリスト、日本旅行、東武トップツアーズの大手3社が加わって「ツーリズム産業共同提案体」というコンソーシアムをつくり、ヤフー、楽天、リクルートが協力団体として参加した。GoToトラベルをめぐる混乱は、政治問題である東京除外を除けば、ほとんどこの事務局に原因があります。