途中で上映が止まった映画館も……

松原 映画の宣伝でも、色んなテレビやラジオに出させてもらったんですけど、軒並み変なことが起きるんですよ。音声にノイズが入るとか、映像が急に止まるとか、もう例外なくあって。途中で上映が止まった映画館もあったみたいです。

――えっ、ほんとですか?

松原 だから、さっきこの配信のURLが変なことになってしまったのも……。

――あれもひょっとすると……。実は直前のリハまで全然大丈夫だったURLが、今日いきなり使えなくなっちゃったんです。映像が乱れて、トラブルになったという……。

松原 ……自分から言うのもおかしいですけど、僕のせいだったらごめんなさい。

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 今年はオンライン開催になったいごくフェスだが、地元のおじいちゃん、おばあちゃんたちが披露する「ヤッチキ踊り」の迫力も健在だった。いわき市に伝わる盆踊りの一種で、“色っぽい歌詞”が特徴のヤッチキ踊りは、昨年のいごくフェスでも見どころの一つだった(今年は配信ということもあってか、一部の奔放過ぎる歌詞には「ピー音」が被せられていたが、何を言っているのかなんとなくわかってしまう絶妙な編集だった)。

 後日、松原氏に感想を尋ねてみると、「今回のオンラインフェスは、インターネットを介して不特定多数の方々にいごくの活動を気づいてもらう絶好の機会として、そして貴重な高齢者たちの輝きの記録として、とても有意義なフェスになったのではないでしょうか」との答えが返ってきた。

「いごくのメンバーであり、作家の小松理虔さんはこう言っていました。『僕らはおじいちゃんおばあちゃんを“スター”だと思ってます。取材したり協力してもらう度に、彼らのカッコ良さやたくましさを知り、どんどん虜になってしまうんです。そんなスター達が、何人も亡くなってしまいました。1年前にはあんなに元気だったおじいちゃんが、おばあちゃんが、やっぱり死んでしまうんですよね。でも、僕らは彼らの輝きやカッコいいのを知ってるから、心に残るのは、寂しさや悲しさだけではないんです』

 誰にでも平等に必ず訪れる“死”と“老い”。そこに悲しさや寂しさではなく、カッコ良さや面白さがあれば、なんかいいなと思えてしまう。そう思わせてくれるいごくの活動に今年も関われて幸せだなと、事故物件の自宅に戻って改めて思いました」

 今年のいごくフェスはYouTubeでアーカイブ配信しつづける予定とのこと。来年はいわき市に集まった大勢の観客とともに、松原氏の怪談と「ヤッチキ踊り」を見ることができるだろうか。

(※本記事は「いごくフェス 2020」の第1部、第2部をもとに再構成しています)

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(松原 タニシ)