学校は、加害教師のスクールセクハラを把握

 実は冒頭の田村さんの学校は、加害教師のスクールセクハラを把握していた。この教師が別の女子生徒と性的なメールを交わしていることが明らかとなり、教師への厳重注意があったからだ。ただそれ以上の処分はなく、教壇に立ち続けた教師は、田村さんだけでなく別の生徒とも性的行為をしたと得意げに話していたという。また小野さんも、呼び出しのかかる教官室は他の教師が在室する時も多く、「ほぼ毎日のことで気づいている人もいたはず」と語る。しかし、指導者として実績のある顧問を咎める教師はいなかった。

 被害時にSOSを発したにもかかわらず、教師や親に黙殺された人もいる。

 島拓也さん(仮名、43)は「被害に遭った中学の3年間で過度に神経質になって、人間関係をうまく構築できなくなった」と悔しさをにじませる。千葉県松戸市の公立中学で、担任であり部活動の顧問だった男性教師から口腔性交などを強要され、周囲の大人も助けてくれなかった。こうした男子の被害は女子以上に表に出にくいが、SSHPへの相談でもおよそ20件に1件が男子のものだといい、決して特殊なケースではない。

 島さんは1年夏から、加害教師に「お前には問題がある」と難癖をつけられては夜遅くまで学校に残されるようになり、秋には性器を触られるようになった。両親に説明して助けを求めると、社会的地位の高い父親は「担任ともめるのは内申点に響くからまずい」、母親は「熱心な先生だから」と言うばかり。学年主任にも訴えたが、「あの先生がそんなことをするわけがない」と取り合ってもらえなかった。

 教師は「おれの言うことが聞けないならクラスから出て行け」「おれがいないとお前はいじめられる」などと、島さんの抵抗する気力を奪う言葉を繰り返した。行動もエスカレートしていき、2年になる前には、キスや口腔性交を強要されるようになった。

 こらえきれず、職員室で泣きながら訴えたこともある。だが、教頭やその場にいた教師らは目を丸くしたが黙っていた。島さんは加害教師から「お前が悪いことをしたんだ」と執拗に刷り込まれ、3年の2学期最終日に「これからは自由にしてやる」と一方的な宣言をされるまで、学校内外で被害を受け続けた。