呉 米ソ対立の時は、核の抑止力がありました。これから台湾について中国の行動を決めるのは、米軍の抑止力の有無です。1996年の台湾海峡危機は、米軍の空母派遣で一応は乗り切りましたが、これからの中国が米軍をどこまで脅威として感じるか――バイデン政権の対応は注目に値します。

 バイデン政権の4年間のどこかの時点で台湾危機が起きる可能性はありますよ。そうなれば、バイデンさんは重大な判断を迫られます。この場合、日本も無関係ではいられないでしょう。

米中が台湾でぶつかれば、日本は確実に巻き込まれる

 一方の竹中氏は、米中の衝突を避けるために日本が積極的に行動していくべきだとして次のように語る。

竹中 アメリカの政治学者であるグレアム・アリソンが、『米中戦争前夜』(2017年)という本を出した時、対談させてもらったことがあります。アリソン教授はこの本の中で、古代ギリシアのアテネ対スパルタに始まり、20世紀初頭のイギリス対ドイツ、20世紀半ばのアメリカ対日本といった覇権国と新興国との間で起きた戦争の歴史について分析しているのですが、このパターンの戦争が起こる確率は75%だという。米中が台湾でぶつかれば、日本は確実に巻き込まれますから、なんとしても残りの25%の可能性を探らなくてはなりません。

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 竹中氏はこれに続けて、「ルール・シェイパー」「グローバル・アジェンダ」という2つのキーワードを提示し、日本は積極的な役割を果たすべきと熱く説いた。

 他にも、バイデン氏の人物像、トランプ政権の功績、バイデン政権誕生に対する中国の見方などについて、4氏が語り合った大座談会「 徹底討論 日米中激突 日本外交最大の危機にどう立ち向かうか 」全文は、「文藝春秋」1月号及び「文藝春秋digital」に掲載されている。バイデン政権の4年を見通すうえで最良の読物、ぜひお読みください。

(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2021年1月号)