史上初となる“オンライン行幸”

 史上初となるオンラインによる行幸は「立皇嗣の礼」(11月8日)の後から本格的に導入されていった。決して早い対応とはいえなかったが、宮内庁はオンライン活用を慎重に行う必要性も訴えていた。

 11月18日、両陛下は赤坂御所からオンラインで東京の日本赤十字社医療センターの院内をご視察。その後、北見、福島、沖縄の赤十字病院をオンラインで結んで、各病院の準備態勢や状況等をお尋ねになった。皇后雅子さまは、日本赤十字社の名誉総裁を務めておられることから、病院の活動には従来からご関心が深かった。

 両陛下とオンラインで対話した看護師の一人は、「本当はもっと近くでお聞きになりたいんだろうなという熱意を画面越しに感じました」と感想を語っていた。

「再び皆さんと直接お会いできる日を心待ちにしています」

 オンラインによるご訪問は、高齢者関連施設でも行われ、体操の様子などを画面から視察なさった。参加者に健康の秘訣をお聞きになったり、昨年7月に大分県内を襲った豪雨災害やコロナ禍での生活に声に耳を傾けられたりした。

 両陛下は、オンラインによる公務だけではなく12月には、久しぶりに国会議事堂で開かれた「議会開設130年記念式典」(11月)にご出席。さらに翌月には、都内のホテルで開催された国際会議へもご臨席された。

 今年もオンラインを活用されながら、ご公務を続けることになるだろう。

「再び皆さんと直接お会いできる日を心待ちにしています」

 という陛下の新年のおことばは、今も私たちの心に残っている。

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 これまであまり報じられることのなかった両陛下のコロナ下でのご活動を丹念にフォローし、その内幕まで取材した友納尚子氏の「 天皇皇后両陛下『オンラインの行幸』 」全文は、「文藝春秋」2月号および「文藝春秋digital」に掲載されている。

(友納 尚子/文藝春秋 2021年2月号)