第一に、富士フイルムはアドレノクロムを日本で販売している企業の一つであること。

 第二に、米海兵隊の公式Twitterアカウントが「Fuji Film」とツイートしたこと。

 

 第三に、北富士演習場で2月上旬に火事(野火)が発生したこと。

 上記3つの事実を飛躍した論理で結びつけた結果、「北富士演習場地下にある富士フイルムのアドレノクロム工場を米軍が攻撃した」という主張になっている。富士フイルムの関連会社である富士フイルム和光純薬は、取り扱っている薬品のデータや希望納入価格をネット上で公開しているので、それで目をつけられたと考えられる。

日本ローカルで出回っている信憑性のない主張

 世界中で拡散される「トランプ率いる米軍大活躍」話と比べても大規模な作戦のはずだが、どういう訳か日本語でしかこの話題を見ない。そこで、政治的思想の左右を問わず過激なYouTubeチャンネルの発言を収集しているRadiTubeで関連する単語で検索してみたが、アドレノクロムに関する動画は多数あっても、富士フイルムと結びつけるものでは見つからなかった。日本語でYouTubeを検索するとたくさん出るのだが、横文字になった途端これである。どうも、日本ローカルで出回っている話らしい。

 逆に、在任中のトランプ大統領が富士フイルムのグループ会社FUJIFILM Diosynth Biotechnologies Texasと契約を結び、新型コロナワクチン製造能力を強化したことを発表し、同社のCEOに謝意を表明する演説動画が出てきた。トランプ前大統領がDSと戦っているなら、なぜDS企業のはずの富士フイルムにワクチン製造で謝意を示すのだろうか。

 また、ここで「米軍のUFO」として登場するのが、TR-3Bと呼ばれる謎の機体である。Qアノンが登場する以前から、陰謀論界隈で存在が主張されていた地球製のUFOとされる航空機であるが(そもそも正体がわかっているならUFO(未確認飛行物体)ではないのだが……)、記述によって反重力推進だったりプラズマ推進だったりと設定が安定せず、実機を撮影したとする動画や写真も明らかなコラージュだったり、形が違っていて怪しい。そもそも、米軍の機体なのに、練習(Trainer)を表すT、偵察(Reconnaissance)を表すRが付いているなど定められた命名規則に則ってないし、B型があるならA型はどこいったとかさまざまな疑問が湧くが、これらを深く考えても意味はないだろう。

 ここまで挙げてきた情報だけでも、「北富士演習場地下にある富士フイルムのアドレノクロム工場を米軍が攻撃した」という主張の信憑性はないとみるべきだろう。だが、ここで名前を挙げられた当事者はどう考えているのだろうか。そこで、DSの悪徳企業とされた富士フイルム、そして、北富士演習場を管理する陸上自衛隊にネットで出回っている言説について取材を試みた。