9年ぶりの改訂“新解さん”は「知ってる言葉を辞書で引く」のが楽しい〈「LGBT」も登場〉 から続く

 “新解さん”の愛称で知られる『新明解国語辞典』。人間臭くて、読んで楽しいといわれるこの辞書の9年ぶりの新版となる「第八版」が発売されたのは、昨年11月のことだった。

 あれから5カ月――。発売日から連日連夜、旧版との違いを探し続けているのが、赤瀬川原平氏のベストセラー『 新解さんの謎 』担当編集者で、『 新解さんの読み方 』『 新解さんリターンズ 』(夏石鈴子名義)の著者、鈴木マキコ氏だ。鈴木氏が最新の“研究成果”をレポートする。


恋愛、逢い引き、秋の空……“新解さん”の記述は新版でどう変わったのか? ©文藝春秋

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なぜ「おしっこ」の説明が変わったのか?

 去年の11月19日に、新解さん(本名は三省堂・新明解国語辞典)の八版が出て、その日から七版との違いを、毎日せっせと調べている。

 改訂された八版の大きな特徴は、何と言ってもジェンダーに関する記述が大きく変わったところだ。

七版「恋愛 特定の異性に対して他の全てを犠牲にしても悔い無いと思い込むような愛情をいだき、常に相手のことを思っては、二人だけでいたい、二人だけの世界を分かち合いたいと願い、それがかなえられたと言っては喜び、ちょっとでも疑念が生じれば不安になるといった状態に身を置くこと。」
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八版「恋愛 特定の相手に対して〜」

 新解さんは、辞書の中から「恋愛は別に男女だけがしているものでもない」と、普通の声の大きさで言っている。時代も変わりました。もう21世紀で令和です。

「恋愛」以外にも、こんな風に語釈が変わったものは、たくさんある。さあ、それを発表しようと張り切っていたら、4月7日付朝日新聞夕刊一面に「【女】とは【男】とは 辞書も省みる」とバーンと大きな見出しがあった。ああ、先を越された。

 と、同時に「え、これ、一面でやること?」とも思った。でも、悔しい事には何ら変わりがない。ああ、悔しい。

「悔しい 自分の受けた挫折感・敗北感・屈辱感などを拭い去ることが出来ず、なんとかして目的を果たしたい(相手を見返してやりたい)という気持をいだき続ける様子だ。」