「廣瀬爽彩さんの死体検案書」を独自入手

 ここに文春オンライン取材班が独自入手したA4用紙1枚の「爽彩さんの死体検案書」がある。同書は3月24日、爽彩さんの遺体が発見された翌日に、旭川医大で行われた司法解剖の結果を記したものである。同書にはこうある。

〈死亡した時 令和3年2月中旬頃

 死亡したところ ××××公園(発見)

 直接死因 偶発性低体温症

 発病(発症)または受傷から死亡までの期間 短時間

 解剖 有 

 主要所見 直接死因となる外傷(−)、窒息(−)、疾病(−)、薬物血中濃度は治療域 尿頂留

 死因の種類 9、自殺 10、他殺 11、その他及び不詳の外因○〉

 この検案書からどのようなことがわかるのだろうか。検案書にも詳しい内科医のA氏は、以下のように解説する。

「爽彩さんの死体検案書」医師の解説

「検案書からは、この方が低体温によって体温が奪われ亡くなったことが、十分に裏付けられていると思います。一般に司法解剖をする場合、まずは外見を問題にします。生きているときに殴られたり、蹴られたりといった暴行行為を受けた場合は生体反応がそのまま死体に残った状態になります。外傷(−)と書かれているのは、出血や打撲などの暴行の跡がないということ。例えば、凍傷は低体温で血の巡りが悪くなり、血の巡りの悪い部分が壊死してしまうため、亡くなれば跡が残ります。しかし、死体にその凍傷の跡もない。つまり、全体に体温を奪われて、比較的短時間で死に至ったと言えます。

 次に、窒息すると低酸素となるから、臓器を調べれば最後の状態が保存されます。仮に窒息があると、どうして呼吸が適切にいかなかったのかということで、事件性が出てきますが、窒息(−)と書いてあるので、そういった所見はないということです。疾病(−)は、内臓が健康な状態で持病がないということ。薬物に関しては、血液を調べると血中に人工的に入ってくる成分のピーク(頂点)が検出できます。服毒自殺などの高い濃度の薬物のピーク(頂点)は確認されず、決められた濃度で治療していることが確認された。そのため『薬物血中濃度は治療域』と記されています。尿頂留というのは膀胱に尿が確認できたということ。監禁されて水が与えられないなどの酷い脱水状態には陥っていなかったということが言えます」

 そして「死因の種類」として、「自殺」や「他殺」ではなく、「その他及び不詳の外因」という項目に○がついている。

「爽彩さんが死ぬ目的で公園の寒い場所へ行き、自らの意志で凍え死んだのか、公園で考え事をしているうちにそのまま寒くて意識が遠のき、残念ながら見つからず命を落としたのか、それは解剖の所見では明らかにすることはできません。つまり死因の種類として『自殺』かどうかは判断できない。『他殺」については、これまで述べてきた解剖所見において、暴行や窒息、監禁、薬物を盛られた可能性などが否定されていることから、そうとは言えない。あくまで偶発的に発生した低体温症によって死に至った。『死因の種類』として、『その他及び不詳の外因』という項目に○がついているのはそういうことです」(同前)