山口 小室さんの考える法律論と、日本社会に根づくより広義の“貸し借り”の感覚に決定的なズレがあるんだろうと思いますね。小室さんの主張を大まかに整理すると、元婚約者の方から母に対する婚約破棄は一方的なもので、母側に慰謝料請求権があるはずだ。ところが、元婚約者から「返してもらうつもりはなかった」と言われたことを以て、母はその請求権を放棄し、それと同時に、元婚約者が持っていたかもしれない金銭の返還請求権もなくなったというものです。

 確かに、小室さんの主張は、法律論としてありえないではないですが、日本社会に今も残る“貸し借り”の感覚には合わないのです。苦しい状況を助けてもらった恩に対し、何らかの形で「お世話になりました」と報いるべきという感覚は、前近代的と言われながらも、広く社会に浸透しています。これまで、どうも“日本的”とされる価値観と、個人主義的な小室さんの価値観にズレがあるんじゃないかと懸念がありましたが、今回の文章でそれが決定的になった。このいかんとも埋めがたい溝について、この文書はある種の最終通告のようにも思いました。

小室さんも「もらいっぱなし」

片山 この文書で、金銭トラブルに小室さん本人が関わっていたこともはっきりしました。文書では、元婚約者の方が小室さんの母親の求めに応じて圭さんのICUの「授業料」としてお金を渡していて、小室さんもそれをもらったことを認めている。実際には、そのお金は授業料として使わずに、「すべて私の貯金と奨学金で賄っています」と否定していますけれど、つまり、母親だけでなく小室さん自身もお金をもらいっぱなしになっていることを認めているわけです。カリフォルニア大学ロサンゼルス校へ留学した際も、元婚約者から200万円を送金してもらったまま返していないことも認めている。

 ここで忘れてはいけないのは、小室さんのお母さんと元婚約者の間には、「愛の問題」が当然あったはずだということです。「愛」があれば多少のお金の貸し借りもうやむやになる。でも愛がなくなれば貸し借りの問題が浮上してくる。今になって、いくら互いに「貸した」「貰った」と主張をしたところで、そこは当事者の「愛」の問題だから、真相は藪の中。誰にもわからないことに、我々がこんなにも付き合わされているのか、とふと思ってしまいました。

江森 主張を繰り返すだけでは、金銭トラブルの解決にはなかなか繋がらないと思っていました。そこへ、文書を出して4日後、今度は解決金を元婚約者に支払う意向だ、と小室さんの代理人弁護士が明らかにしました。小室さんの対応はちぐはぐな感じがします。