「従業員数:25名(ネコ含む)」と書いた公式ホームページが話題となっている会社があります。京都・二条城のそばにある創業1893年の佐々木酒造。俳優・佐々木蔵之介さんの実家としても知られる造り酒屋です。


佐々木蔵之介さんの実家でもある佐々木酒造

 Twitterの公式アカウントにたびたび登場するのは、あーちゃん(オス)、ちーちゃん(オス)、ちび子ちゃん(メス)の3匹の猫。以前は酒造の敷地内で暮らしていましたが、現在は引っ越してしまったとのこと。3匹の暮らす佐々木酒造・佐々木晃社長のご自宅にお邪魔して、お話を伺いました。(全2回の1回目/ 後編 を読む)

佐々木酒造の酒蔵で生まれた猫たち

――3匹と暮らすようになったいきさつを教えてください。

「3匹ともうちの酒蔵の中で生まれた仔です。我々、酒造りの仕事は秋組の商売といわれていて、寒い時期だけお酒を造ってるんですね。昔は出稼ぎ労働の人が半年間だけお酒造りをして、春になったら地元へ帰って農業だったり林業だったりをして生計を立てるという働き方でした。ところが、一次産業の衰退によって、そういうかたちで仕事をする人がほとんどいなくなってしまったんです。農業従事者の平均年齢が65歳を超えているように、私たちもこのかたちで仕事をしていけなくなることは随分前からわかっていましたので、少しずつ地元の人を雇うかたちに変更して。で、1年間通して社員として働いてもらえるようにしていったんですけど、昔より酒造りの期間が長くなったとはいえ、9月くらいから4月くらいまで。それ以外、酒蔵の中は誰もいない状態になるんです」

――その誰もいない期間に、猫が出産したんですね。

「どこからか忍び込んだんでしょうね。私たちも近くをうろうろとしている地域猫をかわいがっていたんですけど、その中にもーちゃんと呼んでいた牛柄の猫がいた。ある日、もーちゃんのお腹が大きくなっとったんです。しばらく経って見かけたときにはスッキリしていたので、社員と『どこかで産んできとるわ』と話していたら、酒蔵の中に子猫がおった。ちび子はおそらくもーちゃんの仔でしょうね。蔵の中で生まれたということは、私にも責任がある。そう感じて、4匹くらいおったんかな。自宅で引き取ったんですけど、全匹は育てられないので、3匹は知り合いに譲りました。で、翌年にも産まれて、同じように全匹引き取って譲る中で残ったのが、ちーちゃんとあーちゃんでした。今はもちろん、蔵に猫は入れないようにしています」