《大阪姉妹殺人事件》なぜ山地悠紀夫に母親の愛は届かなかったのか「いまでも母を殺したことは良かったって思える」 から続く

「蚊も人も俺にとっては変わりない」「私の裁判はね、司法の暴走ですよ。魔女裁判です」。そう語るのは、とある“連続殺人犯”である。

 “連続殺人犯”は、なぜ幾度も人を殺害したのか。数多の殺人事件を取材してきたノンフィクションライター・小野一光氏による『 連続殺人犯 』(文春文庫)から一部を抜粋し、“連続殺人犯”の足跡を紹介する。(全2回の2回目/ 前編 を読む)

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CASE2 山地悠紀夫
大阪姉妹殺人事件

 さらに、この手紙のなかには、彼が思い描く将来の家庭像も記されていた。

出院後の未来

〈もし将来家庭を持つならば、娘が3人欲しいです。この理由なのですが、私は、殴り合いよりも議論が好きなのです。男の子に比べて、女の子というのは、おしゃべりという面では、優れていると思います。3人という人数は、何かあったとき、例えば、旅行先などで家族で話し合いをするとなると、2対1で対立するので、そういったことで面白さや楽しさがあるなと思うのです。もちろん妻と娘3人で私と対立が起きて4対1となることもあるでしょう。それはそれで楽しくなると思います〉

 少年院に収容されて1年3カ月目にもかかわらず、山地の視線は出院後の未来に向けられていた。それは翌02年の年賀状の文面からも窺える。


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〈昨年は、事件資料など、無理を申しましてすみませんでした。ただ、事件を本気で振り返り、考えていかなくては、なりません。今年は本件の事もそうですが、出院後の事も色々と考えて準備を進めていかなくてはなりません。そのベースとなるものは、やはり資格取得だと思っております。もちろん、××弁護士(*本文実名)いわく、インターネットと英語の時代なのも確かです。これからも、色々とご迷惑をおかけすると思いますが、ご指導の方よろしくお願いします。Take care.〉

 この文面だけを読むと、一見、山地が更生に向けて新たな一歩を踏み出そうとしているかのような印象を持つかもしれない。