虐待されたペットは、声をあげられない被害者だ。

 被害者が喋れないからこそ、時に動物虐待では信じられないような事件が起きる。

 今年6月には改正動物愛護法が施行され、悪質なブリーダーの取り締まりは強化されたものの、船出は深刻なものとなった。


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 長野県警は11月4日、松本市のペット繁殖場「アニマル桃太郎」の社長・百瀬耕二容疑者(60)と社員の有賀健児容疑者(48)を動物愛護法違反(虐待)の疑いで逮捕した。アニマル桃太郎は松本市内の2カ所の繁殖場で計約1000頭の犬を飼育していた。

「家宅捜索をした際には、繁殖場にところ狭しと5、6段積み上げられたケージに、複数の犬が押し込められていました。糞や尿も垂れ流しで衛生環境は最悪。乳腺に腫瘍があったり失明していたりする犬も多かったようです。そもそも数人のスタッフで、1000頭の犬に目が行き届くはずがありません。これまでにも通報があったようですが、状況は改善されず30年もの長期にわたり、劣悪な環境下で飼育されていたようです」(捜査関係者)

昔から行われていたアニマル桃太郎による「虐待」

 実は、こうした収容所さながらのアニマル桃太郎の虐待は、最近になって発覚したものではなかった。10年程前にアニマル桃太郎の元従業員から証言を得たという関係者が話す。

「今回桃太郎が飼育していた1000頭のうち、200頭はフレンチブルドッグだったと言われています。当時から頭が大きく腰が細い、虚弱な小型犬が流行っており、出産時には帝王切開が必要となるケースが多かったのですが、百瀬容疑者がそれを無麻酔・無資格でやっていると聞き、最初は耳を疑いました。『麻酔を打つと、法律違反になるから打たない』と周囲に“犯行”の謎の言い訳をしていたようです。

 縫合手術は素人で雑だったため、腸が出たままになった犬もいたと聞いています。子犬は母犬の“初乳”を飲むことで免疫をつけます。母犬に適切な処置を施さぬまま、乳をあげるために生かし続けていたようです」

 元従業員は、百瀬から「ここで見たことを口外するな」と脅され、告発するのを非常に恐れていた様子だったという。一方、こうしたアニマル桃太郎の悪評は、以前から業界では知れ渡っていた話のようだ。