「暴走老人」が社会問題になったのは10年以上前のことだった。いまや迷惑な老人はめずらしい存在ではないが、なかでも最近多いのが定年後に孤立して迷惑老人になるケースだろう。

 現役時代に会社でそれなりの役職についていた高齢者はプライドが高く、定年後も上司気分が抜けずに「上から目線のエラそうな態度」を取る人が多い。その結果、家族や地域社会から孤立していき、ますますイライラして暴走し始めるのである。

 定年退職して時間を持て余した老人たちはどのような迷惑行為で周囲の人々を困らせているのか。ヤバい老人の被害にあった人たちに話を聞いた。(取材・文=押尾ダン/清談社)

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結婚詐欺に騙される、71歳の元商社マン

 岡田紗季さん(仮名、48歳)の71歳の父親は、かつて中堅商社の室長だったが、定年退職して中部地方の故郷に戻った。母親は5年前に亡くなっているので父親はひとり暮らしだ。

 岡田さんの父親には先祖から受け継いだ広大な土地とかなりの金融資産がある。つまり、ちょっとした資産家なのだが、その資産を父親がヤバいことに使おうとしているのだという。

「老人にはアナログな人が多いですが、私の父はネットが大好きで、フェイスブックやツイッターもやっています。楽しそうにしているので、これなら独居老人でもヒマを持て余したり孤独を感じたりしなさそうだなと安心していたのですが……。

 ある日、父がフェイスブックで知り合ったベトナム人女性と結婚すると言い出したんです。腰を抜かすくらいびっくりしましたよ。老人がネットで出会った外国人女性と結婚って、そんなの詐欺に決まっているじゃないですか!」(岡田さん、以下同)

 フェイスブックでは以前から資産家の中高年男性を狙った外国人女性によるロマンス詐欺が横行している。それらの詐欺の代表的なひとつがベトナム人女性を名乗る結婚詐欺だという。


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「念のためにネットで調べたら、案の定、詐欺被害を専門とする弁護士事務所がベトナム人女性を名乗る結婚詐欺が増えていると注意喚起していました。でも、父に詐欺だと言ったら怒り始めたんです。『俺は商社時代、大勢の部下を率いて億単位のビジネスをしていたんだ。その俺が騙されるはずがない!』って。

 しかも、そのベトナム人女性を名乗る相手が日本に行くための渡航費がないと言うので、とりあえず100万円を送金したと言うんですよ。もうヤバすぎます。このままだと、私たちが相続する資産が全部詐欺師に持っていかれるかもしれない……」

町内会で「俺は元部長だ」とエラそうにする迷惑老人

 定年後に故郷に戻ってヤバい老人となったのは岡田さんの父親だけではない。もうひとつ別のケースを紹介しよう。