有名になった手配写真(警視庁提供)

 12月19日に最終回を迎えたドラマ「監獄のお姫さま」では、夏帆が演じる「しのぶ」が獄中出産するシーンがあったが、これを地で行く事件の二審判決が14日、東京高裁で言い渡された。

 判決を受けたのは、昏睡強盗や窃盗などの罪に問われた無職、神(じん)いっき被告(33)。合田悦三裁判長は、懲役10年の実刑とした一審判決を支持し、弁護側の控訴を棄却した。

 神被告は女性として生まれたが、中学時代から髪を短くして男っぽい服装をするようになり、20代前半で「自分は性同一性障害」だと認識するようになったという。

 20代後半で乳腺の切除手術を受け、戸籍上の名前を女性名から「いっき」に変更。日常的に男性の服装で生活していたが、昏睡強盗を起こす際は女性の衣服を着て「声優のアイコ」を名乗っていた。

 裁判担当記者が解説する。

「弁護側は二審で『被告は解離性同一性障害(いわゆる多重人格)の影響で、女装していた事件時は別人格になっていたから、犯行の認識がない』と無罪を主張。しかし高裁はそれを認めませんでした」

 高裁は、弁護側の主張に対し「女装は別人格ではなく、犯行の発覚を免れるための変装と考えてもおかしくない」と判断。弁護側は「懲役10年は重すぎる」とも主張したが、高裁は「犯行の常習性や犯意の強固さなどを考慮して一審が決めた量刑に不合理な誤りはない」として退けた。

 事件の被害者は20〜40代の男性5人。被告から誘われてホテルなどに行き、睡眠薬入りの清涼飲料水やアルコールを飲まされて金品を奪われるなどしている。「男性にも下心があったと思いますが、被害総額は275万円相当に及び、二審も悪質だと判断したようです。被告が上告しても実刑が覆る可能性は低いとみられます」(同前)。

 神被告は逮捕後に妊娠が発覚し、獄中出産している。「監獄のお姫さま」では、刑務所に収監中の者が出産した場合、最長で1年半まで所内で子供を育てられることが説明されたが、拘置所にはそうした設備もないため、出産直後に外部に引き取られることが一般的だ。懲役10年が確定すれば、子供と容易に接触できない状況はさらに続くことになる。罪のない子供の生い立ちに暗い影を落としかねないことが気がかりだ。

(「週刊文春」編集部)