「事故を起こしたKAZUⅠは大きな“爆弾”を抱えていました。にもかかわらず、それを放置したまま今シーズンに突入してしまったのです。そのことを社長も認識していたはず」

 こう語るのは、知床遊覧船の元従業員Aさんである。


KAZUⅠの船内(HPより)

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引き揚げた船体の現場検証で、船体に穴があったことを確認

 4月23日に北海道・知床沖で起きた観光船「KAZU Ⅰ」の沈没事故。5月31日現在で乗客14人が死亡、乗員乗客12人が行方不明となっている。

「5月28日には運航会社『知床遊覧船』の桂田精一社長(58)を立ち会わせ、引き揚げた船体の現場検証が行われた。行方不明者の手がかりはなかったが、船体に穴があったことが確認されている」(全国紙記者)

 同船は昨年5月15日に浮遊物と衝突し、乗客3名が打撲などのケガを負う事故を起こしていた。小誌はこの事故の経緯が記された同社の「船員名簿」を入手。その記録欄には代理船長B氏の名でこう書かれている。

もともと船体はボロボロだった

〈干潮時に出現したであろう捨てられた漁網につかまる停船。その際、上部で展望していた乗客3名が軽く打ぼくしたと甲板員より報告を受ける。乗客の傷を確認。乗客の意志を確認。航行が継続できるのであれば続けて欲しいとの事。〉

〈艇には異常が無い事から航行を続行した。定刻通り入港。海上保安庁に入電。〉

〈全ての乗客に、即日連絡を取り、対応不要との事で継続、対応している。〉(すべて原文ママ)

 資料には「艇には異常が無い」と記録されているが、実際はダメージを負っていたと前出のAさんは語る。

「もともと船体はボロボロだったのですが、5月の事故で、一番波が当たる船首の部分に白い亀裂のようなヒビが入ったのです。しかし当時の船長がパテで応急処置をして、上から塗装を施したようで、傷は隠れて見えなくなりました」