会社の事業継続はほぼ不可能

 知床で宿泊事業などを手掛ける桂田氏は最近、会社関係者に仕事への意欲をこう語っているという。

「俺が社長じゃないとダメなんだよ。事故で亡くなった方の四十九日法要後にはホテルの予約を再開したい」

 事実関係を問うべく桂田氏の携帯を鳴らすも応答はなく、質問を記したメールにも回答はなかった。

 今後、賠償はどうなるのか。日本海事補佐人会元会長の田川俊一弁護士が語る。

「ご遺族に対しては2500万円程度の慰謝料に加え、亡くなった方の逸失利益が賠償金となります。運営会社が加入していた上限1億円の保険でほとんどが賄われると思いますが、若い方の場合は上限額を超える可能性がある。会社の事業継続はほぼ不可能でしょうから、上限を超えた分の回収は難しいと思います」

 桂田氏の刑事責任については、「業務上過失致死罪が成立するには、社長が事故を回避するために必要な措置を講じていなかったことを立証せねばならず、ハードルは高いでしょう」。

 せめて遺族には誠心誠意、対応してほしい。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2022年6月9日号)