「タイムカードを押さぬよう徹底されていた」

「コロナ禍で約15カ月の休館期間中も、約20名いる幹部は補助金申請や通販業務、館内整備等に追われていた。月の出勤日数はコロナ以前並の22日前後でした。しかし、そのほとんどが“休業日”としてタイムカードを押さぬよう徹底されていたのです。中には会社の指示を無視してタイムカードを押し続けた社員もいたため、会社が作成した時間外申請書と齟齬が生じ、労働局にとって動かぬ証拠となった。ただ、これは氷山の一角。不正の総額は2000万円どころではないのです」

 発端は2020年5月、幹部会議で示された萬谷社長の方針にあった。社長は、「お金は雇調金が支給されるわけだから、休んでいても仕事しても同じ。ならぼんやり休んでいることないよね」

 と、明言。さらに「休業中も精力的に取り組め」と付け加えたという。何が問題なのか。雇調金を所管する厚労省の担当者に聞いた。

「雇調金は、コロナ等で休業を余儀なくされた場合、安易な解雇に走らず雇用維持してもらうため、休業手当の負担を国が助成する制度です。旅館が休館していても従業員が他の業務に従事していれば当然『休業』ではないので『不正受給』となります。仮に助成金をアテにして出勤を指示し、架空の休業を申告していたのであれば、言語道断です」

 従業員に“休業出勤”を指示する一方、コロナが徐々に落ち着き旅館が再開すると、今度は現場の過剰な負担が浮き彫りとなった。同社社員のB氏が語る。