映画『シン・ウルトラマン』が関係者の予想以上の大ヒットを記録した。『シン・ゴジラ』も手掛けた庵野秀明が総監修を務め、初代『ウルトラマン』を再構築。その懐かしさと新しさが共存するビジュアルと物語は、幅広い世代の観客にアピールしたという。

 来年には庵野が監督を務める『シン・仮面ライダー』も待機中で、この“シン特撮ブーム”は、まだまだ続きそうな気配だが、この人気を下支えしているのは、歴史ある日本の特撮ドラマを愛し続けてきたファンたち。

 特撮は語りがいあるジャンルであるだけに、特にこだわりが強いファンが多いという。特撮作品のムックなどを手掛ける編集者の中澤康彦さん(仮名)に伺った。


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「特撮ドラマが好き」表立って表明しづらいワケ

「特撮ファンは世代も幅広いですが、その裾野も広く、ジャンルも細分化されています。ヒーローが好きな人、ミニチュアや特撮技術そのものが好きな人もいれば、設定や脚本を考察する人や、怪獣・怪人の造形を研究する人も……。

 オモチャ・グッズ系のコレクターもいますし、キャストの追っかけもいる。鉄道マニアでいうところの『〜鉄』のように、それぞれがそれぞれの道を探求している、奥が深くて狭い世界なんです」(中澤さん)

 いずれのタイプも、特撮に対する知識と情熱は凄まじいのだが、そのことをあまり表立っては表現しない傾向にあるという。

「特撮ドラマというのは基本的には子供向けですから、大人になっても好きというのはちょっと言いづらいのかもしれません。同じ趣味の人とは深く話しますが、普通に会社で知り合った知人レベルには、あえて特撮の話はしないという人も多いですね」(中澤さん)

 知り合ってからしばらく経ってから「怪獣、お好きなんですか?」などと、同好の士であることを認識することはよくあるそうだ。現在50歳の夫が特撮ファンだという高宮茉優さん(45歳・仮名)も、最初はパートナーの“趣味”を知らなかった。

「結婚して一緒に暮らすことになり、引っ越しの時の夫の荷物がやけに多いなと思ったら、それがぜんぶウルトラマンの人形やオモチャだったんです。私は特に興味のない分野でしたけど、夫の書斎に飾るくらいはいいかなと思ってました」(高宮さん)

 そのオモチャたちがリビングに進出するようになったのは、長男が生まれてからだという。

「子供が物心つく前から、ウルトラマンや怪獣のオモチャを与えてました。ある意味、英才教育ですよね。そのおかげなのか、息子もウルトラマンが好きになって、小学校の低学年くらいまでは夫と一緒にテレビを観たり、オモチャを集めたり、イベントに出かけたりしていました」(高宮さん)