日露戦争のさなかに全通し、北海道開拓の主役として多くの貨客が往来したJR北海道の函館本線(函館〜旭川間423.1km)。その中間部分にあたる長万部〜小樽間140.2kmが、北海道新幹線の新函館北斗〜札幌間が令和12(2030)年度末に開業するのと引替えに廃止される見込みとなっている。


ニセコ〜比羅夫間を走る“山線”ディーゼルカー

 整備新幹線の開業によってJRから経営分離された全国各地の並行在来線の大半が第3セクター鉄道として存続するなかで、140kmもの線路を一気に剥がして消滅させようという函館本線のケースは、今後の日本全国の鉄道ネットワークのあり方にも大きな影響を及ぼす先例となる可能性がある。

1両編成のディーゼルカーは早くも大盛況

 今年3月に“山線”廃止が事実上確定、とのニュースが報じられたが、現実には北海道新幹線の札幌延伸までまだ8年以上ある。

 だから、今すぐ慌てて名残を惜しみに行くようなことではないのだが、もともと夏に北海道へ行こうと考えていたところに廃止確定のニュースがあり、背中を後押しされたような感じで、休日に札幌への旅程を長めにとり、“山線”経由を選択した。

 自分が考えつくことは、他の人だって同じように考える。函館から特急「北斗9号」で長万部に到着すると、“山線”に乗ろうとする旅行者がすでに大勢集まっていた。

 この日に限らず、最近はこうした混雑が増えているらしい。夏休み中とあって、普通列車が乗り放題になる「青春18きっぷ」を持つ人も多く見かけた。早くも廃線を惜しむ鉄道ファンの特需(?)が発生しているようだ。

「利用者が少ないから廃止」と報じられたがゆえに旅行者が増えるのは皮肉だが、これまで、全国各地でローカル線が廃止になるたびに見られた現象でもある。

 ちなみに、“山線”の存廃を巡る議論の過程では、前提として用いられた過去の輸送実績や将来の収支予測の算出データの中に、「青春18きっぷ」や「北海道フリーパス」、あるいは訪日外国人専用のJR乗り放題きっぷ「JAPAN RAIL PASS(ジャパン・レール・パス)」などの利用実績が加味されておらず、廃線の根拠とするには不十分との批判がある。