世論が大きく分断された元首相・安倍晋三の国葬が9月27日、東京都千代田区の日本武道館で行われ、無事終了した。参院の選挙戦最中の7月8日、安倍が遊説先の奈良県で銃撃されて死亡するといった衝撃的な事件だっただけに、首都・東京で行われた国葬の警備は警視庁だけでなく他県警からの応援も含め約2万人の警察官を動員しての威信をかけた大規模なものとなった。


日本武道館には大きな祭壇と安倍晋三元首相の遺影が設置された ©JMPA

 一方、世論分断の喧騒をよそに、国内最大の暴力団組織「6代目山口組」では、全国の系列の2次団体を通じて傘下組織の構成員たちに対して、一般社会では意外とも受け取られる、とある通達を出していた――。

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警視総監をトップとする「最高警備本部」を設置し、計約2万人の大規模な体制で警備

 国葬には、秋篠宮ご夫妻や葬儀委員長の首相・岸田文雄、衆参両院議長、最高裁判所長官の三権の長らが参列した。米副大統領のハリス、豪首相のアルバジーニーら外国首脳らも来日し、出席者は約4200人となった。当日は早朝から夕方まで約2万3000人が献花に訪れ、献花台までに数キロの行列ができた。

 多くの人々が元首相の死を悼んだ一方で、国会正門前などでは国葬に反対するグループによる集会が開かれたほか、会場となった日本武道館周辺ではデモ行進もあり、一部では警察官ともみ合う場面もあった。

 警視庁は事件防止のため、国葬当日は警視総監の大石吉彦をトップとする「最高警備本部」を設置。警視庁の約1万7500人に加え、全国の道府県警から派遣された約2500人の応援を加えた計約2万人といった大規模な体制で警備にあたった。警備は当日だけでなく数日前から会場周辺での爆発物や不審物の検索なども行われた。

国葬で各国の首脳が銃撃される事態となれば…

 こうした大規模な警備体制を取った過去の例では、2016年5月の伊勢志摩サミットの約2万3000人、2019年10月の即位礼正殿の儀の約2万3000人、2021年7〜9月の東京五輪・パラリンピックの約6万人などがある。

 警視総監の大石は国葬前の8月に開いた警備会議で、警視庁の幹部に対して、「全職員が、全身全霊で取り組んでいただきたい」と訓示。元首相銃撃事件については、「犯行を阻止し安全を確保できなかったことは断腸の思い。国葬儀の警備は、警察の存在意義そのものが問われる」と強調していた。

 元首相銃撃事件をきっかけに、前警察庁長官の中村格が8月に辞職することになった。国葬で各国の首脳が銃撃される事態となれば、警察トップのクビを差し出すだけではすまない事態となるのは容易に想像できることでもあり、警察当局は緊張感を強いられることとなった。