不肖・宮嶋、北海道から九州大分までひっさしぶりに日本縦断の旅に出るため草鞋を履くことになった。

 まるで、廃線になる路線や列車を追いかける「撮り鉄」時代を思いおこさせるが、今回は本年度でいよいよ退役する陸上自衛隊74式戦車の勇姿を記録せんがためである。


愛知県・陸上自衛隊守山駐屯地にて ©宮嶋茂樹

日本を守り続けてきた戦車が本年度いっぱいですべて除籍へ

 74式戦車、戦車乗りは親しみをこめて「ナナヨン」と呼び、書面では「74TK」と記される。61式戦車に引き続き2代目の三菱重工製純国産戦車となる。エンジンは2万1500ccディーゼルエンジン。実は日本の戦車はドイツのタイガー戦車や米軍のM4シャーマン戦車がガソリンエンジンだったのに対し、戦前から引火しにくいディーゼルエンジンと日本は戦車先進国やったのである。そのシルエットは最新のステルス性(敵レーダーに写りにくい)の鋭角をもった角ばったのに対し、砲塔は一体型の丸みを帯び、むしろ戦車が戦車らしく見え、ノスタルジーさえかきたてる。

 1974年に制式配備されたためちょうど半世紀に渡って日本を守り続けてきたことになるが、本年度を最後にすべて除籍となる。もちろん後継戦車となる90式、最新の10(ヒトマル)式戦車も我が国には配備されているが、それらはすべて北海道、九州であり、来年度からは本州に戦車の実働部隊はいなくなる。かわって本州には74式戦車と同じ105mmライフル砲を搭載する16式機動戦闘車、略して16MCVが配備されることになるのである。

 しかし74式戦車はごらんのように戦車らしいシルエットに対し16MCVはタイヤ履き、最高速度は時速100kmと74式戦車の倍近く、そのくせ射撃精度も火力も74式戦車と変わらんが、悪路走破性は履帯(キャタピラ)履きの戦車には及ばんやろうし、そのシルエットはどっちかというと装甲車チックでもあり、実際16MCVは偵察部隊等に配備されることになるはずである。

住宅街のど真ん中に控える、愛知県・陸上自衛隊 守山駐屯地

 さてと、ノー書きはこれぐらいにしてや、まずは新幹線と名鉄を乗り継ぎやってきたのは愛知県名古屋市守山区の住宅街のど真ん中に控える陸上自衛隊守山駐屯地の創設64周年兼第10師団創立61周年記念行事である。この日を最後に愛知県下で走る「戦車」は一切見れなくなるのである。

 しかもこの記念行事の一環として74式戦車へ試乗もできるのである。かくして名鉄瀬戸線守山自衛隊前駅には雨天にもかかわらず、朝8時すぎにはすでに多くの市民が押しかけ、正門前には行列ができつつあった。