ゴールデンウィークの人の往来とともに、全国的に麻疹(はしか)の感染が広がっている。

 3月に台湾から沖縄を訪れた旅行者が感染源とされる今回のはしかは、沖縄県で90人、愛知県で15人など、すでに1都1府9県で100人を超える患者数が報告されている(5月4日時点)。


那覇空港には注意喚起の文書が ©共同通信社

「はしかの特徴は、その感染力の強さです。空気感染、飛沫感染、接触感染などさまざまな感染経路があり、マスクでは防げない。人の体内に入り込むと、免疫を担う全身のリンパ組織を中心に増殖し、強い免疫機能抑制状態を引き起こす。麻疹ウイルスだけでなく、他のウイルスや細菌により合併症を引き起こし、重症化することもあります。死に至るケースはまれですが、先進国でこれほどの感染者が出る国は日本以外にありません」(都内の内科医)

 はしかは先進国はもちろん南米大陸や中東でも撲滅されている。定期的に流行するのは日本以外にはアジア、アフリカなどの開発途上国に限られており、日本は長く“はしか輸出国”という不名誉なイメージを持たれていた。

「07年、08年と2年連続で大学生を中心にはしかが大流行し、社会問題となりました。修学旅行でカナダを訪れた高校生が発症し、参加者全員が現地の保健当局からホテルでの待機を命じられ、飛行機の搭乗も拒否されるという事態に発展したのです」(医療ジャーナリスト)

 はしかの予防策はワクチン接種以外になく、日本で流行する原因はその不徹底にある。今年はしかを発症した人の多くは20代から40代で、この世代はワクチンを1度しか接種していない「1回世代」と呼ばれている。

「はしかの予防接種は06年以降、1歳児と小学校入学1年前の2回受けるようになっています。1回しか受けていない人は、2回受けた人に比べて免疫が弱まる傾向があるとされます。インフルエンザと比べて10倍と言われる感染力ですから、『1回世代』の皆さんはもう1度予防接種を受け、予防に努めていただきたい」(前出・内科医)

 ワクチンで免疫を獲得すればはしかにはかからない。また、1度感染すれば2度とかからないという。まずは自分に免疫があるのかないのか、把握するのが肝要だ。

(「週刊文春」編集部)