また、安倍首相は「今ある秘密の範囲が広がることはありません」と言い切ったが、特定秘密を記録した行政文書の廃棄は進んでいてチェックも十分ではない。さまざまな情報が闇から闇へ消えていっていることは、国民は後から知ることになる。

「我が党においては結党以来、強行採決をしようと考えたことはない」
朝日新聞デジタル 2016年10月17日

 これはTPPを審議する国会での発言。「民主主義のルールにのっとっていくのは当然のこと」と胸を張ったが、前年9月の安全保障関連法案の審議では与野党議員が揉み合う中、採決を強行したばかりだった。どの口で言っているのだろう。

くすぶり続ける「モリカケ問題」

 TPPに関しては「TPP断固反対と言ったことは一回も、ただの一回もございません」(しんぶん赤旗 2016年4月9日)という発言もある。2012年の衆院選の際は「TPPへの交渉参加に反対!」「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」とポスターに明記されていたのはご存知のとおり。その後、日本はアメリカが離脱したTPPを主導してまとめあげた。

「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」
毎日新聞 2017年2月18日

 安倍昭恵夫人が名誉校長を務めていた学校法人「森友学園」の国有地払い下げ問題に関して、安倍首相が国会で放った一言は大きな波紋を呼んだ。「忖度」という言葉が注目を集める一方、とにかく証拠が出てきてしまったら安倍首相が議員辞職しなければいけないとあって、大規模な公文書の隠蔽、改ざん、破棄が行われ、改ざん作業を指示された財務省近畿財務局の職員が自殺に追い込まれた。

 安倍首相の「腹心の友」加計孝太郎氏が理事長を務める「加計学園」の獣医学部新設問題になると、「これは総理のご意向」と書かれた文書や「本件は首相案件」と書かれた備忘録などが飛び交った。安倍昭恵夫人が公開した安倍首相、加計氏らの写真につけられた「男たちの悪巧み」というフレーズも話題になった。

「モリカケ問題」と呼ばれて疑惑はくすぶり続け、安倍首相は「真摯に説明責任を果たしていく」「丁寧に説明する努力を積み重ねていく」と繰り返したが、まともな説明はなされないままだった。

一国の首相が国民を“味方”と“敵”に分断した

「こんな人たちに負けるわけにはいかない」
毎日新聞 2017年7月8日

 安倍首相は在任中、常に国民を「敵」と「味方」に分けてきた。議論したり説明を尽くしたりするよりも、自分の味方を集めて政権基盤を固め、異なる意見は排除する。野党が弱かったこともあり、それで十分選挙に勝つことができた。

 象徴的だったのが、17年7月の東京都議選、秋葉原駅前での街頭演説での発言。安倍首相は政権批判の声を上げる聴衆を指さして「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と声を張り上げた。一国の首相が国民をはっきりと「分断」してみせたのだ。「味方」は手厚く遇し、「敵」は徹底的に干し上げる。「分断」と「排除」が安倍首相の一貫した政治手法だった。

 安倍首相の失言は東京都議選の惨敗を招くが、その後、北朝鮮のミサイル実験が始まると「Jアラート」を連発。10月の「国難突破解散」による衆議院総選挙で圧勝してみせた。