幕張の澤村は衝撃的なデビューを果たした。

 ジャイアンツからトレードでマリーンズ入りした澤村拓一投手は入団会見が終わるや試合に備え練習合流。即ブルペンで待機した。そして1点リードの6回にマウンドに立った。交換トレードが発表された翌日のこと。その名がコールをされると新型コロナウィルス感染症予防の観点から観衆が5000人に制限されているとは思えないほどの歓声に包まれる。

 1球1球にどよめきが起こった。3者連続三振に仕留め澤村が吠えた。時を同じくして地鳴りのような音がZOZOマリンスタジアムを包んだ。外野で守っていたレオネス・マーティン外野手曰く「まるでプレーオフのような空間だった」。澤村がマリーンズファンのハートをガッチリと掴んだ瞬間は新たに指揮官となった井口資仁監督が用意をした輝ける舞台でもあった。


3者連続三振に仕留め吠える澤村拓一 ©千葉ロッテマリーンズ

ジャイアンツ関係者から井口監督に届いた様々なメッセージ

 加入が決まった時から井口監督はこの入団即登録即登板のプランを温めていた。「6回か7回。1点差ぐらいのところでと思っていた。二軍戦の試合映像や今年の一軍の映像も見たけど、いいボールを投げていた。実力、実績もある。チームとして欲しいと思って獲った選手。あの場面で使って当然だし、本人にもそのように伝えていた」と指揮官はイメージ通りの結果。そして予想通りのスタンドの熱狂にニヤリと笑みを浮かべた。

 澤村はZOZOマリンスタジアム入りをすると最初に監督室を訪ねた。井口監督からは「チームのために、優勝のために頑張って欲しい」。力強く声をかけられた。もちろんリラックスさせるための冗談も忘れない。「同じ中央大学出身の小さな先輩(美馬学投手―身長169cm)と大きな後輩(井上晴哉内野手―体重114kg)と仲良くやってくれ」。緊張していた表情から笑みが漏れた。その時のことを指揮官は振り返る。

「凄くやる気がみなぎっている表情をしていた。やってやるぞという感じだった。めちゃくちゃ気合が入っているように感じたね」

 そんな指揮官の下には様々なジャイアンツ関係者から連絡が入った。次々に届くメッセージに「みんなに愛されていた選手だと思った。みんな『頑張って欲しい。宜しくお願いします』との事だった」。ジャイアンツの原辰徳監督からもメッセージが届いた。「純朴でいい選手。宜しくお願いします」。ジャイアンツの人たちの想いを背負い澤村を預かり、大きく活躍できる舞台を用意する気持ちを改めて強めた。

 圧巻のデビューも井口監督はまだまだこんなものではないと言う。「ストレートも、もっとよくなるはず。156キロぐらいは常時出せる。ストレートで押して押して押しまくれる投手。ここぞという場面で三振をとれる投手」と絶賛をする。