スポットライトの味が忘れられない?

「指導者ほどではないにせよ、シーズンオフになると開かれるアイスショーの実入りが結構いいんです。フィギュア人気があがって、コロナ禍に入るまではアイスショーの数も増える一方でした。昔は空席が目立つショーも珍しくなかったですが、今はスター選手が出ていればほぼ満員になります。なので人気の選手は、現役時代から引退後までアイスショーに引っ張りだこ。そして、スケーターとして体験したスポットライトの味はやっぱり忘れがたいのだと思います。安藤は特に、アイスショーやテレビ出演の“派手な雰囲気”が好きなタイプ。指導者というのはどこまで行っても裏方ですからね」

 本気で指導者の道を目指すことになれば、アイスショーとの両立は難しくなる。アイスショーのために毎日リンクで練習しながら、現役の選手たちをきっちり指導するのはほぼ不可能だ。

 考えてみれば、フィギュアほど引退しても現役時と変わらない活動ができる競技はなかなかない。場合によっては、公演回数が多いアイスショーの方が現役時代よりも観客の前で滑る機会が多いケースすらある。とりわけ安藤が出演する「スターズ・オン・アイス」や「プリンスアイスワールド」などの権威あるアイスショーは、演出やライティングも豪勢でエンタメ性にあふれている。

安藤の指導者としての資質は?

 では、安藤が指導者の道へ進むことはありえないかというと、そうでもない。実は安藤に指導者としての資質を期待する人も多いという。

「安藤がイベントなどに呼ばれて子供たちにスケートを教えることがあるのですが、その評判がとてもいいんですよ。子育て経験からくるものかもしれませんが、子供との距離の詰め方、突き放し方が巧みだと言います。情の厚いタイプなので相性はばらつきがありそうですが、ハマれば案外いい指導者になる可能性はあると思うんですけどね」(前出のベテラン記者)

 30歳で大ベテラン扱いと、競技選手としての寿命は短いフィギュアスケートだが、引退後のプロスケーターに定年はない。しかしさらに長い人生を考えれば、どこかでさらに次のキャリアを考える必要もある。

 日本中を沸かせたスター選手が指導者として帰ってくれば、フィギュア界もさらに盛り上がることは確実。果たして彼ら、彼女たちはどんな決断をするのだろうか。

(小野 歩/Webオリジナル(特集班))