内川聖一ら先輩たちから学んだこと

 当然開幕1軍へとアピールを続けていたが、未曽有の事態により開幕延期。3ヶ月後となったスタートに上手く合わせることが出来ず、1軍昇格どころか2軍でも結果を残せない日々が続いた。夏頃、ある記事が気になった。昨季1軍でブレイクを果たした栗原陵矢選手が、長谷川選手に「選球眼ではなく選球体になって打て」と助言を受けたという内容のものだった。その事が気になって長谷川選手に質問に行くと、「お前にはまだ早い」と言われた。それでも引き下がらずにお願いすると、丁寧にじっくり教えてくれたという。長谷川選手の言葉がリチャード選手の中にスッと入ってきた。「わかりやすくて感動した」というリチャード選手は、その後本塁打を量産し、ウエスタン本塁打王に輝いた。昨季の12本の本塁打のうち、10本が助言を受けた後に放ったものだった。

 昨季までホークスに在籍した内川聖一選手からも多くのことを学んだ。「『今日何時に起きたんか?』から始まって、野球に入るまでの過ごし方とか、生活のことを毎日言ってもらいました。お父さんみたいでした」と子どものように話していたリチャード選手。実は2人の出会いは10年以上前に遡る。内川選手がベイスターズ時代、沖縄で行った野球教室に当時小学生だったリチャード少年が参加していたという。ホークス入団後、その話題を持ちかけ、17つ年上の先輩と仲良くなったという。なんとも人懐っこい性格の持ち主だ。

 昨季終盤、先輩たちからの助言もあり、結果が出てきたものの何かを成し遂げたわけではなかった。すると、大道打撃コーチに「何かタイトル取れよ」と発破を掛けられた。そこから本塁打と打点を意識し、しっかりどちらも手中に収めた。

 結果的に2軍でタイトルを獲得したが、1軍に上がれず悔しい1年だった。強いホークスで1軍に上がるには「個の能力もだけど、プレー以外の自分の価値も高めていかないと」と気付かされた。松田宣浩選手のようにチームに必要とされる人にならなければいけないと痛感し、まずは2軍でそういう存在を目指しているところだ。

 多くの人に支えられ、お尻を叩かれてきたリチャード選手。首脳陣、先輩たちからの期待も大きいからこそ、良い時も悪い時も叱咤激励され続けてきた。ファンの間でも「リチャードまだ?」と待ち望む声がしばしば聞こえてくる。愛すべき期待の大砲がベールを脱ぐのももうすぐかもしれない。

 さあ、リチャード選手の1軍初打席にみんなで全集中だ!

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(上杉 あずさ)