原辰徳監督は試合後、解説者席の清原に手を振った

 2020年6月15日、清原の4年にわたる執行猶予期間が終わりを告げた。

 半年後の12月12日にはYouTubeチャンネル「清ちゃんスポーツ」を開設。薬物の後遺症とうつ病に苦しめられていることを告白するなど、現状の清原和博のすべてをさらけ出すかのような、心を揺さぶられる回も多い。先月、コロナ禍ゆえ、オンラインで開催されたプチ同窓会でも清原のYouTubeチャンネルが話題に上がった。

「わかっていたつもりだったけど、ほんと純情で素直で繊細で優しい男だよな」

「体のことがもちろん第一だけど、野球界に復帰できたら一番いいんだろうな」

「野球少年に打撃指導する回で思ったけど、すごくわかりやすいし、指導者適性ありそうよな」

「学生野球資格回復制度の研修も受けたし、ゆくゆくは高校生も教えられる。今度は指導者として甲子園を目指すセカンドキャリアだって期待したくなる」

 清原の前向きな話題で同窓会が久しぶりに盛り上がった事実が、嬉しくてたまらなかった。

 7月10日、甲子園球場でおこなわれた阪神対巨人戦の解説者席に清原の姿があった。約11年ぶりに請われ、巡ってきたテレビ解説の仕事だった。

 この試合後、心温まるワンシーンがあった。原辰徳監督、宮本和知投手コーチ、元木大介ヘッドコーチが解説者席の清原に向かって大きく手を振る。驚いた表情で立ち上がった清原が3人に向かって手を振り返し、頭を下げる。私はこの光景をテレビ画面越しに目撃したが、涙が止まらなかった。横で見ていた妻までが泣いていた。


原辰徳監督、元木大介ヘッドコーチに手を振る清原和博氏(右は片岡篤史氏)

 ティッシュ片手に妻と私は語り合った。

「原さんたちからの『清原頑張れよー!』のエールだよね。またいつの日か巨人に戻れたらいいね」

「その可能性がゼロじゃないかも、と思わせてくれたことがなにより嬉しいんや」

「日本はセカンドチャンスがない国なんて言ってたけど、清原さんの周りにはそういう動きが少しずつ生まれてるんじゃないの?」

「うん。ゆっくりながらも、着実に生まれてると思う」

 予期せぬサプライズエールに、清原は目を潤ませながら言った。

「鳥肌が立ちました。まさか原さんがバックネットに向かって手を振ってくれるなんて夢にも思わなかったので……。今まで頑張ってきてほんとによかった。来てよかった」

 時間はどれだけかかってもいい。

 セカンドチャンスを掴みとる同学年のヒーロー・清原和博が見たい。

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(服部 健太郎)