2022年4月24日、ロッテvsオリックスの試合で、審判の判定に苦笑いをしたロッテ・佐々木朗希投手に、白井一行球審が詰め寄った“事件”が物議を醸した。プロ野球における審判の判定や一挙手一投足は、それだけ世間から注目を浴びているのだ。

 ここでは、プロ野球審判生活29年、通算出場2414試合を誇る元審判員・佐々木昌信氏の著書『 プロ野球 元審判は知っている 』(ワニブックス)から一部を抜粋。佐々木氏が振り返るプロ野球の“乱闘・退場シーン”を紹介する。(全2回の1回目/ 2回目に続く )

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落合博満監督が退場時に見せた「男気」

 私は審判生活29年で退場宣告が3度あります。

 最初が2000年。阪神の左バッターのタラスコ選手が見逃し三振のとき文句を言ってきました。2度目が09年、中日の落合博満監督の「遅延行為」で、宣告しました。3度目は13年、日本ハムの左バッターのホフパワー選手が、これもストライクの判定に抗議をしたので退場宣告をしました。


落合博満監督 ©文藝春秋

 落合監督に退場宣告をしたのは忘れもしない2009年10月11日、神宮球場です。ヤクルトのデントナ選手がレフトポールの真上に打球を飛ばしました。レフトポールの真上を打球が通過したと判断した私は、右腕をグルグルと回しました。デントナ選手はダイヤモンドをゆうゆうと1周してホームイン。

 そしてリプレー映像がオーロラビジョンに流れました。撮影の角度的なものもあるんでしょうが、それを見る限りではファウルに見えたんです。そうしたら落合監督がダグアウトを出てきました。

「打ったバッターが上手かったから黙っていようと思ったが、あの映像を見せられたら、悪いけど、監督の立場として出てこないわけにはいかない。といって判定をくつがえすわけにもいかないだろ。あとでお前、見せたほうに文句言っておけよ。いいよ、オレ退場になるから。退場のルールって5分だったよな。5分測ってくれ。代理監督はシゲ(森繁和)だ」

 落合監督は抗議というより、場を丸く収めるための男気を見せてくれたのです。私はファンに事の成り行きを説明するために場内放送をしました。